[成果情報名]

胚移植技術を活用した高能力乳用牛の増殖と牛群改良効果

[要約]乳用牛の改良増殖を目的に胚移植技術を活用して、高能力乳用牛の胚を供給することにより、高能力乳用牛系統牛の推定育種価は総合指数+380、乳代効果+53,825円となり、乳用牛群の能力が急速に向上して、酪農経営の収益性が向上する。
[キーワード]育種、改良増殖、胚移植、高能力乳用牛、総合指数、乳代効果、収益性
[担当]京都畜研・大家畜部
[連絡先]0773-47-0301
[区分]近畿中国四国農業・畜産草地
[分類]行政・普及

[背景・ねらい]
 これまで、酪農経営の安定を図るために、ウルグアイラウンドによる貿易自由化対策として、胚移植技術を活用して高能力乳用牛(高能力牛)の増殖を進め、牛群検定実施農家における牛群改良や経営向上に成果を収めてきた。
 2001年10月から胚を有償化して、府内一円の全酪農家を対象に供給するに当たり、これまでの事業効果を解析し、造成した後継供胚牛について周知を図ることにより、普及促進に役立て、府内の牛群能力の高位平準化を図る。

[成果の内容・特徴]

  1. 1992年から1995年にかけて、アメリカとカナダから6頭の高能力牛を輸入して、後継供胚牛を増殖しながら胚を供給してきた。
    2001年12月までに延べ143回の採胚で正常胚558個を回収し(正常胚率46.5%)、436個を移植して、207頭が受胎し(受胎率47.5%)、5世まで含めると雌牛が33戸で175頭生産されて、活躍している(表1)。
  2. 高能力牛系統牛(系統牛)の泌乳能力は高く、79頭の補正乳量の平均は10,922Kgで、乳成分も良好である。また、乳量から試算した収支では、粗収益は1,107千円であり、一般牛の898千円に比べて23.4%の増収となり収益性は向上する(図1)。
  3. 系統牛の遺伝的能力を推定育種価で見ると、総合指数が+380、産乳成分が+159、乳代効果が+53,825円であり、他の一般検定牛に比べて遺伝的能力が非常に高く、改良は急速に進んでいる(表2)。
  4. 系統牛の中から牛群検定成績により優秀な後継牛を造成して、既に供胚牛として酪農家に胚を供給している(表3)。
  5. 酪農家飼養の系統牛については、胚採取凍結処理車(ET車)により庭先採胚を実施して胚の供給を拡大し、胚移植関連技術及び育成牛や搾乳牛の飼養技術の伝達に努めている。

[成果の活用面・留意点]

  1. 効率的に事業を推進していくために、性判別雌胚の安定供給に努める必要がある。
  2. 高能力牛増殖事業の事業効果の高位安定化を図るために、受胚牛の飼育管理技術について研究しながら酪農家指導を進める必要がある。
  3. 系統牛の高い遺伝能力を遺憾なく発揮させる育成技術や搾乳牛の飼養技術の研究を更に進める必要がある。

[具体的データ]

表1

図1

表2

表3


[その他]
研究課題名胚移植技術を活用した高能力乳用牛の増殖と牛群改良効果
予算区分府単費
研究期間1992〜2001年度
研究担当者極山 太、渡邊昌英、種子田 功、岩間仁志、谷口和紀
発表論文等1)極山ら 京都畜研成績 42:(掲載予定)

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