[成果情報名]

転作小麦の採卵鶏自家配合飼料利用技術と地域内流通の提案

[要約]小麦流通制度の転換に伴い、需要減少と価格低下が懸念されている国内産小麦を採卵鶏自家配合飼料原料として30%配合したものは、トウモロコシ主体の自家配合飼料(71%)と同程度の生産性が得られ、安価な飼料原料として活用できる。
[キーワード]飼育管理、全粒、小麦、転作、自家配合、採卵鶏
[担当]京都畜研・中小家畜部
[連絡先]0773-47-0301
[区分]近畿中国四国農業・畜産草地
[分類]行政・参考

[背景・ねらい]
 小麦は転作の重点作物となっているものの、麦流通の民間への移行に伴って、関東、近畿、九州では麦価の値下がりや需要の落ち込みが発生している。我が国では小麦は飼料原料としての利用は少ないが、現在の流通制度のもとで新たに飼料としての需要を起こせば、栽培農家、生産者団体にとって転作達成、販売先確保が可能となり、また畜産農家にとっては、飼料原料の地元調達、耕種農家との連携、地場産の飼料を利用した販売上のメリットが期待できる。
 そこで、転作の全粒小麦を鶏飼料として用いた場合の飼料価値を検討して、畜産農家と耕種農家の小麦を介した連携の方向を提案する。

[成果の内容・特徴]

  1. トウモロコシ主体(71%)の自家配合飼料と全粒小麦30%の自家配合飼料の給与試験を行ったところ、産卵成績、飼料要求率に差は認められない(表1)。
  2. 飼料の摂取状況から全粒小麦の嗜好性はトウモロコシと比べて同程度か、やや良いレベルにある。
  3. 全粒小麦を採卵鶏自家配合飼料原料として30%配合したものは、飼料用トウモロコシ主体の自家配合飼料と同程度の生産性が得られ、安価な配合原料として活用できる(表3)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 小麦には抗栄養作用を持つ非でんぷん多糖類アラビノキシランが含まれているため、20%以上配合する場合にはキシラナーゼを添加する。
  2. 小麦に赤カビが発生している場合には使用しないこと
  3. 国内産小麦を用いていることを、生産卵の特徴として消費者に示すこと。
  4. 現行の国内産麦の流通制度のもとでは、規格外小麦についてのみ飼料利用が可能である。養鶏農家があらかじめ規格外小麦の利用契約を生産者団体と結ぶことによって、耕種農家の栽培意欲の低下を防ぐことができ、生産者団体は販売先を確保できる。

[具体的データ]    

表1

表2

表3

表4


[その他]
研究課題名転作小麦の鶏自家配合飼料利用技術と地域内流通の提案
予算区分府単
研究期間2000〜2001年度
研究担当者安富政治、八木充
発表論文等安富・八木(2001)京都畜研成績 41(掲載予定)

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