[成果情報名]

野生イノシシに対する忌避資材の効果

[要約] 臭いや味による5種の忌避資材は、イノシシに対して全く効果を示さない。点滅ライトはイノシシに 対して忌避的な影響を与えることができるが、その持続期間は短く効果は十分ではない。
[キーワード] 獣害、対策、防除、イノシシ、忌避
[担当] 和歌山農総セ・果樹試・環境部
[連絡先] 電話0737-52-2340
[区分] 近畿中国四国農業・生産環境(鳥獣害)
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
 忌避資材については半ば迷信的に伝聞されているものも多いが、効果の検証が実施されていないため、 農業生産の現場で混乱が生じている。ここでは和歌山県カンキツ生産地域のエサ条件下において、 野生イノシシを対象に県内で効果があるといわれている各種忌避資材(表1)の効果について検証する。
[成果の内容・特徴]
  1. テンダイウヤク、サンショウ青果粉砕物、アリルイソチオシアネート、ヒトデサポニン、トウガラシエキス +木酢液については、イノシシの出没から設置した果実が食べられてしまうまでの経過時間が 0.02〜0.6時間と短く、忌避効果は認められない(図1)。また、それらによって刺激を受けたような 行動や、忌避行動は全く確認できない。
  2. 点滅ライトについては、設置当日は8頭中の1頭のみ接近するが、それ以外は接近しない。出没した イノシシは明らかに警戒しており、何かの刺激で逃げ出すなどの行動をとる。設置翌日になると数頭が 接近したまま採食し続け、忌避効果はなくなる(図1)。点滅ライトはイノシシに対して 忌避的な影響を与えることができるが、その持続期間は短く効果は十分ではない。
[成果の活用面・留意点]
  1. 点滅ライトのみがイノシシに対して忌避的な影響を与えることができたが、効果の持続期間は約1日と 短い。その効果は、点滅する赤色光によるものか、異物があることによるものか、両方によるものかは 判別できない。今後、イノシシの生態に基づく装置の改良が必要と考えられる。
  2. その他の忌避資材についても、忌避効果を検証することが重要であると考えられる。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 農作物鳥獣害防止技術実証
予算区分 県単
研究期間 2009年度
研究担当者 法眼利幸、横谷道雄、山本浩之、井沼 崇、増田吉彦

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