温州ミカンの減・無農薬栽培体系における主要病害虫の発生動向

[要約]
温州ミカンでの虫害による果実の外観品質低下への影響は比較的少なく、病害の影響が大きい。黒点病・そうか病を重視した防除体系を組んだ減農薬栽培でも慣行防除に近い外観品質の果実生産が期待できる。
   徳島県果樹試験場 病虫科
    [連絡先]08854-2-2545
    [部会名]果樹
    [専門]病害虫
    [対象]温州ミカン
    [分類]研究

[背景・ねらい]

近年、環境に調和した農業の推進という観点から、減農薬・無農薬栽培が注目されている。そこで、温州ミカンでの、減農薬あるいは無農薬栽培での病害虫の発生状況と果実への影響について慣行栽培と比較して検討を行った。

[成果の内容・特徴]
  1. 平成4〜7年の病害虫発生状況下では温州ミカンの果実品質低下の主因は黒点病とそうか病で害虫の影響は少ない。黒点病は降水量の多い年に多発する。
  2. 農薬散布回数が多いと商品化率は高まる傾向があり、無農薬では病害の多発により商品化率は著しく低下する。
  3. 黒点病防除を主対象とした3〜4回散布の減農薬栽培では6〜10回散布の慣行防除と遜色ない商品化率が得られる。
  4. 減農薬と慣行防除区における薬剤散布の年次別概要 (表1
    減農薬と慣行防除区における果実の外観品質と病害虫の発生程度 (表2
[成果の活用面・留意点]
  1. 本成果は徳島果試ほ場での1事例である。病害虫の発生は地域、ほ場によって大きく異なるので、各ほ場での病害やカメムシ類、ミカンサビダニ等の害虫の発生状況をよく観察し、防除体系を組む必要がある。

 [その他]
 
研究課題名:有機栽培農法試験
予算区分:県単
研究期間:平成3〜7年度
研究担当者:貞野光弘・高田次郎・行成正昭
発表論文等:なし
 
目次へ戻る