青果物の呼吸速度及び包装資材の気体透過速度計算プログラムの開発

[要約]
 
開発した青果物の呼吸速度及び包装資材の気体透過速度計算プログラムは青果物の最適包装貯蔵条件の選択に有効である。
香川県発酵食品試験場
[連絡先]0879-82-0034
[部会名]食品
[専門]加工利用
[対象]
[分類]研究

[背景・ねらい]

流通現場における鮮度保持を目的とした青果物のフィルム包装は経験的手法で行われており、必ずしも青果物に固有の最適条件で流通していないと考えられ、商品の鮮度低下が懸念される。そこで香川県産主要青果物の最適包装条件の選択に必要な青果物の呼吸速度及び包装資材の気体透過速度計算プログラムを開発する。

[成果の内容・特徴]
  1. カットレタス、カットキャベツ、ブロッコリー、トマトの呼吸速度を表す重回帰式は、実測データとよく一致する(相関係数0.926-0.972)(1-8式)。このことから、開発した呼吸速度式は上記青果物の呼吸速度の予測に有効である。同時に、上記青果物の呼吸速度がO2、CO2濃度及び温度の3つの環境条件によって十分説明できる。
  2. Fickの第1法則によると、気体分圧とフィルムの気体透過速度との関係は気体透過係数で表される。ガスクロマトグラフィーで測定した低密度ポリエチレン(LDPE)フィルムのO2、CO2及びN2透過係数の自然対数と絶対温度の逆数との間に直線関係が認められるのでAhrrenius式を利用してLDPEの気体透過速度計算プログラムを開発した(9式、表1)。
  3. キトサン−セルロース複合フィルムとポリカプロラクトンフィルムを貼り合わせた生分解性ラミネートの気体透過係数と絶対温度の逆数との間に負の直線関係が認められた。この結果を踏まえて生分解性ラミネートの気体透過速度計算プログラムを開発した(10式、表2)。
  4. 青果物の呼吸速度及び包装フィルムの気体透過速度式を組み合わせて、最適な包装袋内O2及びCO2濃度を作出できる包装条件の算出が可能である。                                                                      

[成果の活用面・留意点]

  1. 青果物の呼吸速度はO2分圧2.03-21.3kPa、CO2分圧-9.1kPa、5-30℃の範囲で有効、LDPEフィルムの気体透過速度式は5-30℃の範囲で有効、生分解性ラミネートの気体透過速度式は10-25℃の範囲で有効である。
  2. 呼吸速度を速める効果を持つエチレンの環境濃度を呼吸速度の変数に入れていないため、クライマクテリック期のトマトヘの呼吸速度式の適用は困難である。

 [その他]
 
研究課題名:青果物包装設計プログラムの開発
予算区分:産学官共同研究事業(県単)
研究期間:平成9年度(平成7年〜9年)
研究担当者:牧野義雄
発表論文等:日本包装学会誌、4巻1号、1995
        Postharvest Biology and Technology, 10巻3号,1997
        研究報告 香川県食品試験場 香川県発酵食品試験場,88号,1995
        研究報告 香川県食品試験場 香川県発酵食品試験場,89号,1996
 
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