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よくある質問Q&A

Q1:飛ばないテントウはどのようにして開発したのですか
A1:広島県福山市内で採集したナミテントウの集団をもとに、飛翔能力の低い個体を選抜して、それらの個体同士を交配させるという操作を世代ごとに繰り返すことによって飛ばないテントウを育成しました。最初の系統開発まで約4年、実証試験、品質管理法の確立、生物農薬の登録申請などに約6年、合計10年ほどかけて開発しました。見た目は普通のナミテントウと変わらず、体の大きさや産卵数などの性質は同じですが、翅をはばたかせることができません。

Q2:飛ばないテントウを自然界に出しても環境に影響がないのですか
A2:遺伝子組み換え技術は使用せず、もともと野外のナミテントウが持っている ʻ飛ばない性質ʼをもたらす遺伝子を持つ個体を選抜することによって育成しています。これは水稲、野菜などでこれまで行われてきた品種改良と同じ技術です。また、飛ばないナミテントウは飛翔不能ですので、栽培施設の外に出て行きにくく、仮に出て行ったとしても、野外での生存に必須である飛翔能力が失われているので、すぐに淘汰されますので、環境へのリスクはかなり低いと考えられます。

Q3:テントウムシのような生物でも農薬登録を取得する必要があるのですか
A3:野外に生息する普通のテントウムシ(土着天敵)を採集して採集場所の近辺で使用するだけであれば特定農薬(特定防除資材)の扱いを受けますが、飛ばないテントウのように有料で販売して全国各地で使用する場合には、防除効果が確実であることを確認するため、生物であっても農薬登録を取得する必要があります。

Q4:飛ばないテントウはどのような作物で使用できますか
A4:ビニルハウスのような施設内で栽培されている野菜類全てで使用できます。防除対象は各種アブラムシ類です。1㎡につき10〜13頭を放飼して下さい。アブラムシ類の生息密度が高くなる前(散見された時点)に最初の放飼をして下さい。詳しい使用方法や利用上の注意点等については、「飛ばないナミテントウ利用技術マニュアル」をご覧下さい。

Q5:飛ばないテントウの寿命はどのくらいですか
A5:寿命は普通のナミテントウと同じです。発育期間は温度条件によりますが、25℃では卵期間は約3日、幼虫期間(1齢から4齢幼虫)は約10日、蛹期間は約6日の計約19日です。成虫期間は30~50日程度です。温度が低い時期であれば、半年以上生きることもあります。なお、飛ばないテントウは2齢幼虫(孵化してから2~3日経過して脱皮したもの)で販売していますが、容器内では長期間生存できないので、入手後はすぐにビニルハウス内に放飼して下さい。

Q6:飛ばないテントウを使用するメリットは(化学農薬と比較して)
A6:遺伝的に飛ばなくなっているため、卵や幼虫段階での利用が可能です。これは研究中のものも含め、他の飛ばないテントウとの大きな違いです。幼虫の放飼は成虫放飼よりも防除効果が高く、また長く持続します。遺伝的に飛翔不能ですので、上手に使用して数世代にわたって発生させれば、化学農薬よりも長期にわたる防除効果が期待できます。その他、化学農薬の使用量を減らせるため、安全・安心な農産物を生産できること、生産者が化学農薬を散布する労力や手間を減らせること、薬剤抵抗性が発達し、化学農薬が効かなくなったアブラムシに対しても有効であることなどが挙げられます。

Q7:飛ばないテントウの価格について教えてください
A7:価格については販売会社に問い合わせてください。当初の販売価格はやや高めですが、今後、露地栽培の野菜にも使用できるように農薬登録の適用拡大を行ったり、販売会社においても飛ばないテントウの受注形態の改善等により販売価格を下げる取組をしていきます。

Q8:他に飛ばない天敵製剤はあるのですか
A8:もともと飛翔できる天敵昆虫を飛ばないようにした天敵製剤はこの飛ばないテントウが初めてです。他に飛ばない天敵製剤にはカブリダニ類、センチュウ製剤、さらに広義に考えれば微生物農薬もありますが、これらはもともと飛翔できません。

Q9:なぜナミテントウを天敵として選んだのですか
A9:ナナホシテントウなど他のテントウムシもアブラムシの天敵ですが、人工飼料などのアブラムシ以外の餌ではうまく飼育できない場合があります。一方ナミテントウは餌条件がよければ容易に飼育でき多くの卵を産むので、大量増殖に向いています。また1頭あたりのアブラムシ捕食量が多いことも選んだ理由です。

Q10:今後の研究展開は
A10:今回商品化された飛ばないナミテントウ製剤は、施設栽培野菜での利用に限定されています。飛ばないナミテントウは露地野菜でもアブラムシ防除に有効に働くことが確認されておりますので、今後は露地野菜での実用化をメーカーをはじめ共同研究機関と共に目指す予定です。国内で生産される野菜の大半は露地でとれるものですので、露地で使えるようになることで広域で生産者の害虫防除にかける労力・負担を減らし、安全・安心な野菜類の生産に貢献できるようになると期待されます。

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