品種詳細

果樹研究所

翠香(すいこう)

梅酒や梅ジュースの加工原料に適したウメ新品種「翠香」(すいこう)を育成しました。ウメの主要品種「南高」と同時期かやや早く収穫される中晩生品種です。果実は35g程度、梅酒や梅ジュースにすると他の品種にはない芳香があります。特に完熟果を使用した場合は、酸味が多く香りが強い上質の梅酒や梅ジュースになります。

近年は味を意識したこだわりのある梅酒などの製造が増加していることから、「翠香」の育成により、ウメの消費拡大が期待されます。

主要特性

  • 樹勢はやや強く、樹姿は開張と直立の中間です。花芽が多く着生し、結実良好です。育成地(茨城県つくば市)における開花期は3月上旬で、「南高」とほぼ同じで、「白加賀」より約5日早くなります。収穫期は6月下旬で、「南高」より3日程度早く、「白加賀」とほぼ同じです(表1)。
  • 果実重は35 g前後で、「白加賀」よりも3 g程度、「南高」よりも10 g程度小さいですが、核(種子)が小さく果肉が多いのが特徴です。果形は楕円形で、果皮色は淡緑色です(図1、2)。果肉色は、成熟に伴って淡緑色から黄色に変化し、完熟果は黄橙色となります。酸含量は収穫盛期で5.9%程度です(表1)。
  • 「翠香」を用いた梅酒・梅ジュース製品には独特の芳香があります。特に完熟果を使用すると、酸味が多く香りが強い上質の梅酒・梅ジュースになります。
  • ヤニ果の発生が比較的多いため(表1)、梅酒や梅ジュースなどの飲料用原料に向いています。梅干し製品の品質は「南高」に劣ります。
  • かいよう病、黒星病には罹病性を示しますが、通常の薬剤散布により防除できます。
  • 東北から九州までのウメ栽培地域で栽培できます。また、花粉はできますが、自家不和合性を示すため、交雑和合性の品種を混植する必要があります。「南高」とは交雑和合性を示します。

表1 「翠香」の樹性および果実特性

表1 「翠香」の樹性および果実特性


図1 「翠香」の果実
図1 「翠香」の果実


図2 「翠香」の結実状況
図2 「翠香」の結実状況


図3 「翠香」の樹姿
図3 「翠香」の樹姿

出願番号
(出願日)
公表日 登録番号
(登録日)
育成者権の存続期間
23909
(2009年7月15日)
2009年9月24日 20721
(2011年3月18日)
25年
(満了日:2036年3月18日)
交配組み合わせ 旧系統名
月世界×梅郷 ウメ筑波7号

栽培適地

東北から九州までのウメ栽培地域で栽培できます。

育成担当者

山口 正己、土師 岳、八重垣英明、末貞佑子、京谷英壽、西村幸一、鈴木勝柾、三宅正則、中村ゆり、木原武士、小園照雄、安達栄介、内田誠、福田博之

 

発表論文

果樹研究所研究報告 17 (2014) : ウメ新品種‘翠香’