研究活動報告詳細

平成22年度農研機構果樹研究所アドバイザリーボード報告を掲載しました。

情報公開日:2011年3月16日 (水曜日)

アドバイザリーボードの報告にあたって

独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構果樹研究所においては、中期目標に掲げる事業を着実に実施するために、組織の運営及び研究課題、技術開発の遂行並びに付帯する諸活動への取組について、外部有識者に対してアドバイスを求め、組織の活性化を図るとともに、今後の進むべき方向を事業の企画・運営に反映させるため、アドバイザリーボードを開催しています。

平成22年度は重点的に取り組む研究推進方向から果実の加工、鮮度保持、広報の3つのテーマを取り上げ、果樹研究所における研究の現状と将来方向について紹介を行い、各テーマについてアドバイザーの方々による多くの示唆に富むご意見をいただきました。ここに、その結果を報告書としてとりまとめました。頂いたご意見のうち、ホームページやロビーの展示物の改善については直ちに取り組みを始めました。

その他の多くのご提案等は今後の研究所の運営に具体的に反映させて行きたいと考えております。この場を借りてご出席いただいた委員の先生方に御礼を申し上げる次第です。

目的

第2期中期目標の達成に向け果樹研究所における試験研究、技術開発および諸活動の効率的な推進に資するため、果樹研究所の運営、研究成果、普及方策、広報活動等、試験研究にかかわる事項について外部から幅広く意見を求める「果樹研究所アドバイザリーボード」を開催する。

検討内容

平成22年に重点的に取り組む研究推進方向から3つの話題を取り上げ、果樹研究所における研究の現状と将来方向について紹介を行い、各テーマについて委員からの意見を求めるとともに討議を行った。
果実の加工研究の現状と将来に向けた取り組み
果実の鮮度保持研究の現状と将来方向に向けた取り組み
果樹研究所における広報の現状と課題に向けた取り組み

開催日時

平成22年 9月29日(水曜日) 13時15分~17時15分

開催場所

果樹研究所大会議室

構成委員 (敬称略 アイウエオ順)

石川 淳 (株) 電通 電通総研 研究企画室 ネットワーキング部プランニング・ディレクター (現 ナレッジセンター情報サービス部)
片岡 利康 (株)弘法屋 代表取締役
金銅 俊二 チョーヤ梅酒(株)専務取締役
鶴永 陽子 広島文教女子大学人間科学部人間栄養学科准教授
長沢 美津子 朝日新聞東京本社編集局・生活グループ記者
菱沼 義久 農林水産省大臣官房参事官  
村山 秀樹 山形大学農学部食料生命環境学科教授

アドバイザリーボード提言

果実の加工研究の現状と将来に向けた取り組み

消費者の高齢化・食品の多様化・価格・ごみ問題等の果物消費を取り巻く環境は厳しい。農業においても、生産者の高齢化や生産コストの上昇さらに規格やニーズの多様化等の問題があり、酵素含浸による加工技術は問題解決の一助となる。

ジュー スと異なり、酵素含浸による剥皮は比較的加工度が低く、栄養価を下げずに、素材の触感を味わえる大きなメリットがある。酵素剥皮技術は外皮の傷などによる 極端な流通価格の低下の解決につながる。さらに、果実の外観を問わないので、防除回数の削減や省力化のみならず、有機栽培果実の生産も容易となる。問題点 としては、加工費及び容器費用による販売価格設定及び消費期限が考えられる。

酵素剥皮技術は,カキにも応用できることから,干し柿やア ンポ柿の製造での利用も期待される。今後は,既存の剥皮方法とコストや時間などを比較することも重要になる。β−クリプトキサンチンの研究は,ヒトレベル での有用性評価など今後の研究に期待する。また,果物に対するアレルギーについても,是非研究して頂きたい。

酵素による剥皮処理技術 は汎用性が高く、今後の普及を期待する。また、冷凍技術、乾燥技術も汎用性が高いので、食味の向上、機能性成分の保持が可能な技術を確立して欲しい。カッ トフルーツの付加価値(特に、販売面でのメリット)、日持ちの低下などについて検討が必要である。

酵素剥皮技術は、文旦系柑橘に対して は、消費低迷要因の一つを取り除くために非常に有用である。今後は、酵素の処理条件、品種や時期による使い分けや商品化オペレーション、コスト面で細かい 調整が必要である。有機的処理を強調しなくても消費者に十分に受け入れられる技術である。さらに、褐変防止や果肉の軟化防止など、他の技術を組み合わせる 事で、新しいマーケットを開く可能性あり。今や食べやすさは味のうちであり、食べ難さは、購入しない最大の要因である。販売現場から成功事例を作り、この 技術の素晴らしさを周知したい。 

果実加工品も、良いものを安く供給していくことが命題であるので、低コスト・省力栽培技術など、他分野とも連携して、ビジネスモデルを早期に確立してもらいたい。 

生食中心の食べ方が変化し、品種改良から加工、流通、店頭、そして食卓までの連鎖において加工の占める役割がわかった。今後、調理、盛付、演出において、ソフト開発する余地が大きいと感じられた。

カッ トフルーツは消費に近いところで皮むきの加工ができ、安全性でも消費者に納得のいくものである。干し柿やリンゴだけでなく、イチジクや柑橘類などのドライ フルーツも国産が生まれると関心は高い。ただ、これまでの大粒で、生食で甘みが強く、苦みや酸味などは少ないという品種開発の方向では、価格面だけでなく 商品性としても競争が難しい。欧米では、香り、風味が他にないユズが大人気である。

果実の鮮度保持研究の現状と将来方向に向けた取り組み

1-MCPを用いた鮮度保持技術はエチレン抑制として、流通や消費現場の方向を大きく変えるものと思われる。生産現場においては、収穫時期の調整や熟度の 高い果実の販売が可能となる。流通段階では、在庫の調整が容易になり、価格の安定化につながる。家庭においても安心した購買が可能となる。しかし、食べる 最適時期が消費の現場でわかりづらい。

加工現場では、原料を長期保存する技術が期待されているので、生産・加工現場とも必要な技術である。ただ、1-MCPの欠点についても、大学や試験場の情報を整理して発信する必要あり。さらに、品種、熟度で1-MCPの効き方が異なる点についても検討を期待する。

減圧下処理技術や簡易処理技術も研究的には大変興味深いが、通常の処理と比較した時のコストについて言及する必要がある。今後カンキツやブドウなどのノンクライマクテリック型果実に対するエチレンの影響解明は重要なテーマである。

カット加工する前に、果実そのものの1-MCP処理によって褐変防止結果があるかどうか検討して欲しい。 

安定供給で価格が下がるのだとすれば、消費者のメリットと言えなくもないが、果物本来の「旬」や「みずみずしさ」という魅力がどうなるのか。安全性が確認さ れているとはいえ、ポストハーベストだとするとていねいな説明が必要である。消費者は、安全とわかっていても買いたくないという心理もある。 

日本では、化学物質恐怖心理とか、科学的合理性を欠いた過剰な安全志向が根強い。あまりにすばらしい性能・効果は、喜ばれる前に怖がられる。そうした心理を転換するのが、イベントによる神話作りとか、著名人が実際に食べているという推奨だったりする。

1-MCPを使用した果実に対する表示義務はないが、そういった表示にはコストがかかること、科学的な根拠でフォローされているかということも十分考慮し、今後どういった戦略で販売していくかまで見通しをもって研究をすすめてもらいたい。

果樹研究所における広報の現状と課題に向けた取り組み

果樹の研究機関であることがロビーに来た方に伝わるように展示を工夫する。果樹の姿が、果実とか模型とか大きな写真、できれば動画も使って表現できたら、印象に残る。

記事クリッピングなど事務作業の効率化あるいは削減をしてはいかがか。予算、時間、人員数が足りない中では、まず時間の節約が求められる。

広報、販売促進、ブランド作り等々は、近い領域であるが、別種の知識やスキルを要する。広報は、現場のスキルや経験、それに人脈が必要である。専門企業のベテランをスカウトしたり、定年された方を非常勤で迎えて、専門家のご意見を頂くのも有効である。また、彼らは、クリエーティブやデザイナー、ライターなどのツテがあり、研究所に不足しがちな能力を補ってくれる。

研究では物理的特性を測定するが、販売促進においては生活者の心理的な評価が重要であるので、定性調査が必要である。グループインタビューや個人のインタビューも織り交ぜると有効である。試食会は、品種を直接に体験ができ、個人に対し強いインパクトを与え、親近感を持たせる。その場で意見を聞くと、「買って食べたい」と答えるが、最寄りのスーパーにあるとは限らないので、なかなか買われない。果物の場合、店頭での試食が良いのでは?全国の1つ1つのお店や流通チェーン、行政、JAといった諸パワーのご協力をいただけるような起点を用意してはどうか。

「ふじ」はこの研究所で生まれたと聞いても、驚きや敬意は昔ほどない。輸入物と比べて、目新しいか、おしゃれなのか、不足する栄養価を埋めるのか、安全安心か、加工品の多様さはどうか、超高級品として外貨を稼ぐのかなど、多面的な評価が必要である。物理的スペックも優れているうえに、類まれなソフト価値を持つという世界的にユニークな特性があってこそ、高い国際競争力をもつ「ブランド」商品として地位を占めることができる。そういう「ソフト」のある品種を開発し、その流通の在り方、宣伝の仕方まで含めた「日本の果物」の発展強化も視野に入れてはいかがか。その際、風味とか硬度、糖度とかの物理的なスペックは、クリアすべき基準として必要で、さらに、消費者が求める心理的な差異や、流行りのような移ろいゆくものまでも含めた定性的な観点も重視する必要がある。

消費拡大のためのイベントより、信頼できる研究機関としての顔を、もっと打ち出す方が良い。果樹は時間のかかる仕事で、新品種を次々だすというものではなく、農家が作って出荷しないことには消費者の口に入らないので、新品種が報道されても店頭にはないということがしばしばある。皆さんのもどかしさは、取材する側のもどかしさでもある。県の研究のプラットフォームのようなサイトがあると便利であり、全国の農家がこぞって相談にいく場所になれば、より実践的な研究だということが理解されるのではないか。

広報活動を「誰に・何を・どのような手法で」行うかターゲットが良く見えなかった。特に最も大切な、何を広報するかを最優先で決める必要性を感じた。

研究所が行う広報活動手法として下記のような物を提案する。(1)数多くの品種保存の意義や将来に対する必要性の広報活動を生産者や自治体に向けて行う。(2)研究所が開発した品種の生産地の産地別格付け審査を行い、規格(酸度・糖度等)の認定を行う事により、研究所自体の消費者認知が高まる。

広報については,限られたスタッフのなか,大変良くやっている。しかし、ホームページは,項目が多すぎてどの項目からアクセスすればよいのかわかりづらい。生産者の方へ,一般の方へ,小中学生の方へなどの項目をつけて整理すると,アクセスする人が検索しやすい。果樹研究所育成品種カタログは,どのような品種を育成したかすぐわかりますので,ホームページ上にもアップして頂きたい。

成果を技術移転するためには、研究員が現場に売り込むことが理想であるが、研究に支障が出るので広報部門の充実およびスキルアップが必要である。県の試験場との共同研究成果発表会の開催や、研究成果の教材としての利用など教育機関との連携も有効である。

消費低迷の中で産地のつぶし合いという状況もあるが、国産果実の需要拡大のための新しい視点として、生産から消費までのみならず、栄養学、疫学、教育分野も取り込んで一貫したネットワークを作れないか。農業分野だけでなく、他の分野の研究機関への広報や情報交換ができる機会があればよい。

フルーツの競合品目として、スイーツ、健康食品やサプリメントがあるが、フルーツは贈答というカテゴリーで、スイーツより機動性があり、自然の恵みという点で、サプリメントに無い生き物としての価値や魅力がある。人工的な食べ物と同じ様な完成度をフルーツに求めないこと、栄養や機能性に注目しすぎず、感性、特に日本人の美意識に響く価値観の啓蒙も、需要の喚起には必要である。他機関との連携も含め、科学に裏打ちされた情緒性の再評価(季節の味と身体の関係、慣習の根拠、産地の伝統的利用方法)でも、国産果実の魅力をPRして頂きたい。子供の食の志向や習慣が、将来のマーケットを作るので、伝統的な品種や特産果実、その食べ方を指導して頂きたい。

その他

稲中心の食生活から現在は食材の多様化の時代で、わが国の抱える多くの農業問題の解決の一助として果実生産は大きな役割を果すと思われ、今後、果樹研究所の果す役割は大きい。

果樹農業は厳しい状況にある中で、圧倒的な価格差のある海外産の果実加工品と渡り合っていくのは難しい。国産果実の加工分野の発展としては、新技術で新しい加工の分野を拓いていく必要があると感じている。6次産業化の動きもあるので、そういったビジネスモデルを加速できるような技術開発を期待している。 

果物にとって消費拡大が命題とはいえ、果樹研が直接消費拡大のための事業に取り組むものではないし、消費者との接点は、作物や果樹園という環境としての魅力を伝えるところにあるのではないか。目先の市場に合わせるのではなく、世界に貢献するような高度で専門的な研究こそ、どんどんやって欲しい。また、果物が「芸術品」であろうとするあまり、農薬や化学肥料について使いすぎの面があるなら、第三者の立場から持続可能な果樹栽培についても提示していただきたい。

果物の使われ方、食べられ方が変わってきている現状を踏まえ、果樹研が、古くからの個性の強い品種や、地方特有の品種など、果樹園芸の財産として保存して欲しい。品種開発について、目標の設定、選抜の段階で、マーケットなど他方面からの違った価値基準を入れ、社会にとって本当の必要は何かをリサーチされてから仕分けされるべきである。

研究所内にはPRする素材がたくさんある。研究施設、圃場、研究成果や開発された品種など、研究者を介して発信すれば、社会にとって価値がある。ブログとかツイッターの利用、広めたいネタをテレビへ直接または新聞記事掲載を機縁として取材、放送してもらえるよう画策すると良い。研究発表のインパクトを高めるには、近隣の大学との共同研究をし、それに関する発表を国内外の栽培農家も交えながら行なうといった仕立ても面白い。研究所の結束を強める手段として、所内報を拡充してはどうか。 日本の農産物でもトップセールスをやってしかるべき。ロビイングは行わないのか。

加工と鮮度保持の研究に関する発表は,少し専門的すぎるような気がした。

提言に対する対応方向

ご指摘事項に対する対応方向は以下のとおりである。今回頂いた多くの提言を真摯に受け止め、今後の組織運営に適切に反映させ、研究を発展させていく。

果実の加工研究の現状と将来に向けた取り組み

果実の生食用需要が伸び悩む中で、輸入品を中心に果実加工品の消費は増加しており、消費者の食の簡便化傾向の高まりから、皮をむかずに食べられるカットフルーツの需要は高まっている。果樹産業を取り巻く情勢は高齢化、果実価格の低迷等厳しいが、一方で食の安全・安心や健康に対する消費者の志向は強く、国産果実への関心も高い。今後、果樹産業が生き残っていくためには、果樹の6次産業化をにらみ、輸入品と差別化が図られる商品性の高い果実加工品の開発が重要である。このためには、酵素剥皮技術のより多くの樹種への適用、ドライフルーツや冷凍フルーツなど新たな加工技術の開発、国産果実のβ-クリプトキサンチン等機能性成分に関するより一層の科学的データの集積等に関する研究を推進する必要がある。また、酵素剥皮技術等新たな加工技術に関して実用化に向けてのコスト試算や日持ち性や褐変等問題点の把握及びその対策について早急に検討する必要がある。さらに、育種や栽培分野との連携により、加工適性や機能性の高い加工専用品種の開発や加工用果樹の低コスト栽培技術の開発を進めていく。また、魅力ある果実加工品の商品化に向けては、実需者との連携を深め、ソフト面も含めてそれぞれの得意分野での技術開発を進め、6次産業化を後押ししていきたい。

果実の鮮度保持研究の現状と将来方向に向けた取り組み

平成22年11月9日に1-MCPの農薬登録が認可され、今後、リンゴ、ナシ、カキで本剤の利用が行われれば、完熟果実の流通、果実の貯蔵期間拡大、輸出果実の品質向上等が期待される。対象樹種での1-MCPの処理技術については果樹研究所や公立試験研究機関、大学等の研究によってほぼ確立されている。今までの研究で得られた1-MCP処理果の特徴については欠点も含めて情報発信をしていく必要がある。また、新品種への1-MCPの処理条件、カットフルーツに対する1-MCPの褐変防止効果等への対応は公立試験研究機関を中心に技術開発が行われる分野と考えられるが、基礎的な部分での研究協力は惜しまない。1-MCPの表示義務は無いが、処理果は無処理果と日持ち性が異なるため、流通段階での情報提供が重要と考えられ、今後、行政、業界団体等とともに情報交換を密にしていく必要がある。また、消費者に対しては、1-MCPがポストハーベスト農薬であることを考慮し、メーカーや生産団体、販売店等からの科学的な根拠に基づく丁寧な説明が必要であり、当方からも必要な情報提供は行いたい。今後、国内市場をターゲットとして高品質果実の周年供給を可能とするため、不良な貯蔵条件で生じるオフフレーバー(異臭)の解明、ノンクライマクテリック型(成熟がエチレンによって制御されないタイプ)果実に対するエチレンの影響解明等総合的な長期保存・出荷技術の開発を進めていきたい。

果樹研究所における広報の現状と課題に向けた取り組み

果樹研究所の研究成果を国民への還元を一層図るため、農研機構本部や他研究所と協力分担しながら、効率的・効果的で一体的な広報活動に取り組んでいる。一般消費者、青少年、生産者、産業界を対象に広範な分野について広報活動を行っているが、その年度の重点事項を決めて効果的な広報活動を実施したい。記事クリッピングの外部委託等の広報事務の効率化や広報専門家の活用については、予算面も含めて検討していきたい。果樹研ロビーの展示物の改善については早速取り組み、果実や果樹の鉢植えを置き、果樹研らしさをいくらかでも感じて頂けるよう工夫した。ブドウ「シャインマスカット」やクリの「ぽろたん」は、世界一のリンゴ「ふじ」に匹敵するくらいの潜在的なブランド力を有する品種であるので、「シャインマスカット」=「果樹研」、「果樹研」=「ぽろたん」というように、今後の広報の核とすべき素材の一つと考えられる。品種以外の栽培、病害虫等の分野についても研究成果の広報を強化する必要があり、自治体、農業者や一般国民に対して果樹研究がより身近な物に感じられるよう、県や大学との連携も含めて新たな広報手法について検討したい。広報部門の充実及びスキルアップについては、機構内外の研修に積極的に参加するとともに、研究内容が十分に理解できるよう、日頃から研究者と情報交換を密にしたい。イベントについてはアグリビジネス創出フェア等の外部の催しで積極的に研究成果を紹介するとともに、果樹研究所主催でくだもの新品種プラットフォームや果樹研フルーツセミナーを開催してきた。このようなイベントを複数回開催することにより、さまざまな分野の実需者とのネットワークが構築され、今後、共同研究の推進や新品種・技術の実用化に向けて連携を深めていきたい。販売促進を図る上で、会館・ホテル等での試食会に加えて、小売店と連携した試食会についても検討してみたい。ホームページの改善については、青少年向け項目の新設、果樹研究所品種カタログの掲載等に取り組んでいる。食育や果実の食文化の振興については、関係機関や料理研究家、野菜ソムリエや地域の食文化研究家との連携を図りながら、研究機関として側面から支援を行いたい。また、農業研究機関以外の各機関の広報担当者とも連携を強化し、幅広の広報を行ってまいりたい。

その他

土壌肥料の分野ではカリ等の肥料の過剰が問題となっており、果樹研究会では施肥の実態と削減方向について検討したところである。今後、公立試験研究機関との連携により、過剰な施肥の削減に取り組んでいく。

果樹研究所では国のジーンバンク事業のサブバンクとして古い品種や在来品種など遺伝資源を保存している。これらの遺伝資源の多くは独立行政法人農業生物資源研究所より研究用や教育用として配付が可能である。

品種開発においては、生食用品種の開発に重点を置いているが、今後、実需者の声を聞く機会を増やす中で、加工用や業務用品種の開発にも力を入れていきたいので、具体的な提案も頂きたい。

広報についてはプレスリリースの回数を増やすとともに、お付き合いのあるマスコミ関係者の方には、適時な情報提供を行いたい。各種イベントで所長が出向いて来場者に説明する機会は多いが、イベントとしてのトップセールスについても検討してみたい。

果樹研究所では生産者等の出口を見据えた研究を実施しているが、世界に貢献するような画期的な研究成果を出すためには、高度で基礎的な研究の実施が欠かせない。今後も生産者や国民に信頼される研究機関として責任を果たしていく。

法人番号 7050005005207