研究活動報告詳細

さとうきび限界打破事業の活動状況の視察

情報公開日:2010年9月17日 (金曜日)

今年度第3回目の所長キャラバンを5月12日(水)~13日(木)、沖縄県糸満市及び南大東村において実施しました。今回は九州沖縄農研・さとうきび育種ユニットの寺内ユニット長コーディネートのもと、沖縄県糸満市及び南大東村内の生産者、製糖関係者、研究担当者の約15名が参加し、現地視察と意見交換を行いました。

始めに、平成21年度から生産性限界打破事業モデル実践事業に取り組んでいる糸満市の南部地区さとうきび生産振興対策協議会、翔南製糖などを表敬訪問しました。九州沖縄農研育成のさとうきび早期高糖性品種「NiTn20(農林20号)」「NiN24(農林24号)」を用いた早期収穫・製糖システム導入により、安定多収栽培への取り組みを行っているさとうきび生産農家の圃場を視察し、参加者と意見交換しました。育成品種の特性を活かした栽培技術については平成20年に沖縄本島南部地域に向けて簡単なパンフレットを配付しているとのことですが、さらに詳細な栽培マニュアル提供の必要性を痛切に感じました。

糸満市内で昼食に沖縄そばを頂いた後、那覇空港からプロペラ機で南大東島へ移動し、南大東村役場を表敬訪問しました。役場では南大東村の概要、さとうきびの生産状況のほか、南大東村で取り組んでいるさとうきび増産プロジェクトについて、ハリガネムシの防除としてフェロモンチューブを使った交信かく乱法、灌水作業支援のための整備、農地防風林の植樹、緑肥栽培の奨励、農業体験交流などを実施していることを紹介頂きました。

その後、大東糖業、農業生産法人アグリサポート南大東を訪問し、収穫実績、品種別作型別実績等について説明頂きました。引き続き寺内ユニット長より、南大東島で協力いただいている極早期高糖性品種開発について、種子島試験地における今後の取り組み方向について紹介しました。夜は関係者で情報交換会を行い、地元特産の新鮮なマグロの醤油漬を使った大東寿司を美味しく頂き、意見交換の話も弾みました。

翌日はアグリサポート南大東担当者のご協力により、早朝からケーンハーベスタ等の大規模栽培向けのさとうきび栽培の大型作業機械を見学させて頂きました。収穫コストが問題になっている南西諸島の中で、唯一低コスト化を実現している大東島のシステムをどのように汎用化していくか、その中で将来的に問題となる事象を予測するための様々な情報を得ることができました。その後、村内にある農家圃場数ヶ所を訪れ、南大東村で降水量不足による干ばつや土壌条件の改善策として、耐寒性と不良環境耐性の優れた品種が求められていることがわかりました。

所長からは『さとうきび生産について、対照的な2つの地域を見せてもらいました。糸満市を中心にする小規模な農家が多いけれど土壌条件などに恵まれている地域と、干ばつなど条件が厳しいけれど大規模生産が行われている南大東島です。前者では、早期高糖性の導入による収穫期間の拡大を図っており、後者では不良環境を克服する技術開発が進められています。どちらの地域も、サトウキビ生産の安定化に向けた努力と情熱が感じられました。九州沖縄農研は、これらの地域に適した早期高糖性品種や干ばつ等の不良環境耐性品種の開発を促進する必要があります。』というコメントがありました。

※ハリガネムシとは、オキナワカンシャクシコメッキの幼虫で、さとうきびの地下部を食害します。特に、収穫後の植物体再生に必要な地下芽子を食害することから、株出しを大きく阻害する要因となっています。

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糸満市内の圃場で、農水省限界打破事業の
実施状況に耳を傾ける参加者

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翔南製糖で、小規模農家が多く都市化が進展する
地域でのサトウキビ産業のあり方について、
社長の意見を聞く参加者

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沖縄本島からプロペラ機で約1時間。珊瑚礁で
出来た島、南大東島(うふあがりじま)へ!

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南大東村役場を表敬訪問し、南大東村の概要など
について紹介頂きました

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アグリサポート南大東の会議室をお借りして、
大東島での先端的取り組みを拝聴しました

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南大東島の大型作業機械、外国産大型機械の
利点と問題点の説明を聞きました

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風化した石灰岩に由来する大東島の土壌は強酸性、
干ばつ時には固結します

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サトウキビ系統の評価圃場、特に条件の悪い大東
島での生育が気になるところ

広報普及室 栗田 薫

法人番号 7050005005207