研究活動報告詳細

沖縄県中北部におけるソバの春まき栽培圃場の視察

情報公開日:2010年9月13日 (月曜日)

今年度第2回目の所長キャラバンを5月11日(火)、沖縄県大宜味村において実施しました。
九州沖縄農研・南西諸島農業研究チームの生駒チーム長のコーディネートのもと、地域の耕作放棄地の利用促進に取り組んでいる現地を訪れ、九州沖縄農研で開発したソバ栽培技術による現地生産圃場と収穫・乾燥・製粉技術を見学しました。ソバ生産者、沖縄県農業研究センター名護支所、大宜味村役場などの総勢20名を超える参加者が意見交換を行いました。

始めに大宜味村内のソバ栽培圃場4ヶ所を訪れました。生駒チーム長からの概況説明後、大宜味村農業委員会の宮城係長より、大宜味村で取り組んでいる耕作放棄地再生利用緊急対策事業について説明があり、平成20年度から試験的に始めたソバ栽培に手応えを感じ、平成21年度にはトラクターやコンバイン等の大型機械を導入して本格的な栽培に取り組んできたこと等をお話頂きました。また、今年は生育期に雨が多く日照不足だったこともあり、圃場によっては播種前後の多雨による湿害のためか、出芽や生育が疎らなところも見られましたが、その対策として、農研機構がすでに大豆等向けに開発してきた湿害対策技術が有効である可能性が提案されました。

圃場見学の後は特産品加工所に会場を移し、播種機、コンバイン、トラクター、乾燥機、脱皮機、石抜き機など、ソバ生産に関する一連の農業機械の見学を行いました。さらに『道の駅おおぎみ』のホールに移動して、大宜味村の職員で当センターの研究協力員としても協力頂いている住秀和氏より製粉機や製麺機について説明頂き、製粉したばかりのソバ粉で作った新ソバを試食し、香りも良く味も良いと参加者にも大変好評でした。

意見交換会では、始めに大宜味村役場の担当者より耕作放棄地事業の経過説明がありました。引き続き、南西諸島農業研究チームの原主任研究員より、冬でも温暖な気候を利用した端境期の出荷を目指すそば栽培をテーマに、これまでの沖縄向けソバ栽培技術の開発状況等について紹介した後、今後の栽培の課題について現地の生産者を交えた活発な意見交換が行われました。参加者からは、「ソバは大宜味村にとっても大きな財産になる」「単収を解決できればもっと作りやすくなる。日が短い沖縄でもできる品種を作って欲しい」など、今後の栽培拡大が期待されるご意見を頂きました。また、「肥料や土作りについて良いアイディアを教えて欲しい」等のご質問のほか、大宜味村内の畜産農家で課題となっている家畜排泄物、特に豚糞尿の処理について、適性処理の観点からも、堆肥化や液肥散布に関して協力しながら問題解決を進めていきたいといった意見もあり、耕畜連携が進んでいない現状や離島地域資源循環(地域内の未利用有機資源の有効活用)を図る取り組みの必要性について共通認識を得ました。

ソバは、耕作放棄地対策や休閑期に作付けることによる赤土の流出防止に有用なだけでなく、大宜味村の新たな特産品としても期待でき、今回のキャラバンでは地元の方々の意気込みを強く感じることができました。また、2008年5月に名護市で実施した所長キャラバンに大宜味村役場からも参加頂いたことがきっかけでソバ栽培が始まったことから、生産現場や実需者等との連携強化、開発技術や新品種の定着・普及拡大を目的として取り組んできた『所長キャラバン』の成功例としても手応えを感じるキャラバンとなりました。

キャラバン終了後、所長より『大宜味村で穫れたソバは大変美味しく、品質については全く問題はないと思います。まずは「道の駅」等での利用が考えられますし、生産が安定すれば本土からの需要も見込めます。ただし、湿害などを克服して収量を安定させる栽培技術の向上が望まれます。また、当面の品種として「さちいずみ」が選定されていますが、さらに沖縄の気候に適応した短日適応性や穂発芽耐性を持つ安定多収品種の育成に務める必要があります。』とのコメントがありました。

☆所長キャラバン『沖縄におけるソバの普及・定着に向けて』(2008年5月14日実施)

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播種してからひと月ほど経ったソバ圃場。播種前後
の多雨による湿害のためか、少し生育が疎らなところも。

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播種後1週間ほどのソバ圃場。たった2ヶ月で
収穫できる大きさに育ちます。

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土壌改良に有効なバーク(剪定枝等のチップ入)
堆肥に包まれ、すくすくと育っています。

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圃場の周りに植えられた「ヒシバ(イネ科の雑草)」。
ソバとともに赤土が流出するのを防ぎます。

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ソバの播種機。これまでの手播きに比べると作業は
ずいぶん楽に、効率は抜群にアップしました。

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石抜き処理した抜き実を製粉機に入れると、
あっという間に香りの良いソバ粉が出来上がります。

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特産の青切りシークヮーサー果汁を蕎麦つゆに入
れていただくのが大宜味流。

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意見交換会の様子。予定時間をオーバーするほど
活発な意見交換が行われました。

法人番号 7050005005207