研究活動報告詳細

イチゴの高設高密植栽培とクラウン温度制御技術について

情報公開日:2009年12月 7日 (月曜日)

12月7日(月)、今年度最後の第7回所長キャラバンを佐賀県神埼市および唐津市において実施しました。今回は、「イチゴの高設高密植栽培による超省力・多収生産システムの現地圃場の視察」と「クラウン温度制御技術の普及状況の視察」をテーマに、九州沖縄農研・イチゴ周年生産研究チーム沖村チーム長のコーディネートのもと、地元の生産者、佐賀県農業試験研究センター、農業技術防除センター、上場営農センター、三神農業改良普及センター、東松浦農業改良普及センター、JA佐賀の担当者を含めた約50名で現地圃場の視察と意見交換を行いました。
はじめに、神埼市千代田町で高設高密植栽培の実証試験に協力して頂いているイチゴ生産農家の古賀さんのハウスを訪れ、沖村チーム長と壇主任研究員より、吊り下げ式の高密植栽培ベッド(移動式)を導入した実証試験の紹介がありました。試験は現在進行中ですが、この技術の導入による労働時間または生産コストの5割削減、収量アップなどが大きく期待できることから、今後の成果報告が楽しみです。古賀さんからも「これまで生育は順調で、今後の結果を楽しみにしています。」とのご意見を頂きました。

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このあと、昨年末の記者発表で大きな反響を頂いた、九州沖縄農研育成のイチゴ新品種「おおきみ」の生産圃場を訪れました。唐津市相知町の生産者の井手さんにハウスを案内頂いた後、イチゴ周年生産研究チームの曽根主任研究員より、クラウン温度制御システムを利用した実証試験について説明がありました。
このシステムは、イチゴの成長点があるクラウン部に軟塩ビ製の2連チューブを沿わせて、最適な20°C前後に温度制御(低温期には加温、高温期には冷却)することで、高温期の花芽分化促進、低温期の草勢維持等に有効な技術ですが、ここでは、夜冷短日処理苗を定植した超促成栽培を行っているため、一年で最も需要が多く、取引価格が高いクリスマスシーズン前に収穫することができます。

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引き続き、汎用型システムの課題となっている生産コストの低減を目指して、現地で実証試験を行っている、低コスト型のクラウン温度制御システムについて、九州沖縄農研・業務第2科の中原科員から、地下水、ハウス暖房機の廃熱等を有効活用した「イチゴECOなりシステム」について説明がありました。佐賀県の方から、「ECOなりシステムは、地域の資源を有効活用した環境に優しい生産技術である。JA指導員技術研修でもここを視察したい。」等のご意見を頂きました。

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キャラバン終了後、所長より「イチゴの高設密植栽培やクラウン温度制御は、イチゴ版『緑の革命』ともいえる革新的な技術開発であると思います。新しい技術や品種は当然リスクも伴う わけですが、果敢に挑戦していただいている生産農家の方々に敬意を表します。みなさんが『高品質・多収・低コスト』というハードルの高い目標を達成していただけるものと期待しています。」とのコメントがありました。
売れるイチゴを作るため、秀れた特性を持つ品種の育成から軽労化や低コスト化をめざす新しい栽培技術まで、一貫して研究に協力いただいている現地の方々の取り組みを見せていただくとともに、明確な目標を持って進めている研究チームの活動を再確認できたキャラバンでした。

広報普及室 栗田 薫

法人番号 7050005005207