研究活動報告詳細

諫早干拓地環境保全型農業現地の取り組みについて

情報公開日:2009年9月11日 (金曜日)

今年度第6回の所長キャラバンを9月11日(金)、長崎県諫早市において実施しました。
今回は「諫早干拓地環境保全型農業現地の視察」と題して、九州沖縄農研・土壌環境指標研究チームの荒川主任研究員コーディネートのもと、長崎県内の生産者、行政機関、研究機関などの関係者総勢50名が参加し、長崎県諫早湾干拓営農支援センターで圃場や開発機器の視察と意見交換を行いました。
平成19年度から九州沖縄農研が中核機関となって実施している実用技術開発事業「諫早湾干拓地における環境保全型大規模生産技術体系の構築」では、大規模環境保全型農業と諫干ブランドの確立、省力・低コスト化を目指して、主としてバレイショを対象に現地試験を行っています。本年度が最終年度となることから、今回のキャラバンでは、営農者や関係機関の方にその成果を紹介するとともに、今後の営農に活用していただくため、開発機器等のデモンストレーションを行いました。

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はじめに、本事業の研究総括である九州沖縄農研・久留米研究拠点の田中研究管理監から挨拶があり、引き続き、長崎県農林技術開発センターの小林干拓部門長から諫早湾干拓地における営農状況の概略説明がありました。その後に、同センターの平田氏による種いも消毒にかかる時間、労力並びに廃液の量を格段に低減する微粒子噴霧種いも大量消毒法、鋤柄農機の鋤柄氏による畝たてと同時には種、施肥、消毒とマルチフィルムの展長が行えるバレイショ多機能植え付け機の開発、九州沖縄農研の荒川主任研究員による諫早湾干拓地における成分調整成型堆肥の利用状況についての説明や機械による散布の実演がありました。それぞれの機械操作のデモンストレーションでは、参加者も興味深く見つめていました。

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営農支援センター内の会議室で行われた意見交換会では、営農家の方から「成分調整成型堆肥は普通の堆肥と比較して省力化のメリットのあることがわかった。しかし、堆肥では混入している雑草種子が心配だ。そのため、地力向上のために緑肥を導入してきたが、家畜ふん堆肥の場合、雑草種子混入の危険がないのかどうか気になる。」等の率直なご意見を頂きました。これに対し、荒川主任研究員から、「緑肥は分解が早く、土壌の理化学性や生物性の改善のためには完熟堆肥との併用が望ましい。通常の堆肥化過程を経た完熟堆肥は、温度が上昇して雑草種子が死滅するため、雑草種子等が混入する危険性が低い。野菜作などの場合、成分調整型堆肥を利用すれば化学肥料と同等の生育収量を得られる実証データも蓄積しつつある。」との回答がありました。

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最後に所長から「干拓地は土壌の有機物に乏しく、地力の向上が重要です。成分調整成型堆肥は、扱いが容易であるため、広大な干拓地の地力向上に適していると思います。今日伺った意見を参考にさせていただきながら、成果の普及に努めます。」とのコメントがありました。
九州沖縄農研の今後の方針として、成分調整成型堆肥による土づくり効果の特徴や成分調整成型堆肥を用いた栽培マニュアルの作成、諫早以外の多様な営農現場での実証的圃場試験の展開等、現場への技術普及に向けた課題の重要性が明らかになったキャラバンとなりました。

広報普及室 栗田 薫

法人番号 7050005005207