研究活動報告詳細

窒素付加堆肥の利用拡大に向けた取り組み

情報公開日:2008年11月10日 (月曜日)

-菊池地域でのキャラバンの概要-

熊本県菊池地域は全国でも有数の畜産地帯であり、豊富に生産される堆肥の有効活用が重要な課題となっています。普及組織(菊池地域振興局農業普及指導課)においても、これまで様々な作物、品目への適用、普及に向けた取り組みを行ってきました。そうした中で彼らが注目したのが、当センター九州バイオマス研究チームが開発し土壌環境指標研究チームが利用法の研究を進めている窒素付加堆肥です。平成19年度からは農水省経営局の「産官学連携経営革新技術普及強化促進事業」を獲得し、当センターやJA、生産者の方々と一緒に複数の作物、品目を対象にした展示、実証活動を行っています。今回のキャラバンは、こうした取り組みを行っている現地にお邪魔して生育状況等を確認するとともに、関係者と意見交換して、さらなる普及に向けたポイントや問題点等を探ることを目的に実施しました。

キャラバンは11月10日、深まりゆく秋を感じさせる晴天の下、窒素付加堆肥を製造している堆肥センター(農事組合法人 合志バイオX)やネギおよびニンジンの展示圃場を見学し、それぞれの場所で関係者と意見交換を行いました。当センターからは担当している九州バイオマス利用研究チーム、土壌環境指標研究チームが参加し、また、菊池地域振興局(農業普及指導課)、合志市役所、生産者等も参加して頂き、総勢約30名となりました。
堆肥センターでは、センターの運営や堆肥化の過程について法人の組合長さんや市役所の担当者の方にご説明いただき、また当センターからは田中章浩主任研究員が説明しました。この中で、廉価でかつ質のいい副資材の確保がポイントであることや、単価の高い窒素付加堆肥の個袋販売をしたいが、本業(酪農経営)との関係もあって、とても全量を窒素付加堆肥として製造できない等、運営上の具体的なご意見を頂きました。

また、展示圃場では当センターの荒川祐介主任研究員が説明を行うとともに、それぞれの生産者の方から、窒素付加堆肥の使い勝手等についてご意見を伺いました。一つは、散布方法については、品目によって違いがあるものの、基肥として機械体系に組み込んで施用することが当然の前提とならざるを得ないこと、二つめに、肥料価格が上昇しており肥料としての利用に期待するが、その場合でも、化学肥料との価格面での優劣関係、および生産物(農産物)の価格における有利性の有無等が問題となること、といったご意見を頂戴しました。
堆肥の利用が進まない主要因の一つに散布の面倒さがあります。ニンジンの生産者の方からは、ブロードキャスタであっという間に散布できるので問題はない、とのご意見を頂き、ペレット化によって主要な問題点の一つを解消できたと確信しました。もう一つの要因が、どれだけの肥料効果があるのか、ということです。これについては作物、品目ごとに生育パターンに合った施肥や効率的な施肥の検討が必要であり、ここでの取り組みのように、普及組織やJA、生産者と一体となって進めていくことが基本であり普及の早道であることを再確認しました。
新しい技術の普及にとって、関係機関と一体になった現場での取り組みが極めて重要であることを改めて感じたキャラバンでした。

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堆肥センターについて説明される合志バイオXの
野口組合長(写真中央)。

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施設内で説明を行う当センター九州バイオマス利
用研究チームの田中主任研究員(右から2番目)。

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高窒素堆肥ペレット。
悪臭の原因となるアンモニアを堆肥に吸着させて造るため、高濃度の窒素が含まれています。
家庭でも簡単に使えて、化学肥料の使用を抑えることができる、環境に良い優れものです。

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菊池市のネギ栽培圃場で説明をされる生産者
の岩根さん(写真右)。生育状況が良く、品質も
良いネギに参加者の視線が集まります。

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大津町のニンジン栽培圃場で説明をされる生産者
の渡辺さん(写真右)。堆肥のペレット化により、
散布作業の効率化が図られました。

法人番号 7050005005207