研究活動報告詳細

【所長キャラバン】高冷中山間地での「春のいぶき」夏播き栽培に関する意見交換

情報公開日:2017年11月20日 (月曜日)

九沖農研 平成29年度第1回所長キャラバン

実地日時:平成29年9月27日(水曜日)10時~12時
実施場所:大分県九重町

キャラバンを実施した背景

所長キャラバンは、所長が現地にお伺いし関係者との意見交換を通した研究成果のフォローアップ、普及現場における新たな技術ニーズの探索などを目的に実施している活動です。
今回は当センター育成のそば品種「春のいぶき」を栽培している大分県九重町を訪問し、意見交換を行いました。「春のいぶき」は九州地域の春まき栽培に適する品種として普及が進められています。この品種は高冷地での夏まき栽培にも適すると考えられていますが、実用規模の実証試験はまだ実施されていませんでした。
九重町栗原(くりばる)地区では平成28年熊本地震によって水路が破壊され水稲が栽培できなくなりました。この代替作物としてそばの導入を図り、九州沖縄農業研究センターや関係機関が協力してきた経緯があります。水路が復旧した今年もそば栽培は継続しています。

キャラバンの概要

まず、小雨模様の中、収穫期間近となったそば圃場を視察しました。

小雨模様の「春のいぶき」圃場視察
小雨模様の「春のいぶき」圃場視察

続いて、場所を同地区公民館、そして九重町役場に移しながら報告・話題提供と意見交換を行いました。大分県西部振興局からそばの生育状況、九重町役場から地震とそばの取り組みについて報告がありました。要点は以下のとおりです。

・7月30日に4.1haに播種、8月20日に開花、8月25日に防除を行った。
・9月の大雨と台風で倒伏した。当初見込みより少し遅れ、10月上旬から収穫予定。
・平成28年に地震による水稲作付不能地が約8ha発生し、水をあまり必要としない作物の中からそばを選定。
・水稲作付けが可能になった今年も4.4haでそばを栽培。連作障害や湿害の懸念を軽減するために、水稲とのブロックローテーションや、排水性のよい圃場での作付に努めた。
九州沖縄農業研究センターからは、何点かの話題を提供しました。
・平均気温からは5~10月、降水量からは梅雨どきを除く5~10月がそば栽培好適。
・梅雨入り前播種、梅雨明け後収穫という栽培体系の可能性。
・穂発芽(収穫前の子実が発芽)しにくいそば新品種「NARO-FE-1」が出た。
・湿害対策としてアップカットロータリーやカットドレーン(穿孔暗渠機)の利用が有効。

生産者からは施肥量や倒伏対策、梅雨前播種時の品種や栽培3年目に備えた準備等の質問が出され、九州沖縄農業研究センターの専門家が丁寧に回答しました。

話題提供と意見交換

キャラバンの参加者は、そば生産者7名、大分県西部振興局3名、九重町役場2名、JA全農1名、九州沖縄農業研究センター10名の計19名でした。生産者が多くご参加くださり、短い時間にも有意義なキャラバンになったと思います。

栗原九沖農研所長の所感

昨年は地震により用水路が破壊され、水稲作付けができないと言う厳しい状況中で、初めて「そば(春のいぶき)栽培」に取り組んでいただき、1年目でありながら全国平均と比べても非常に良い成績を上げていただいています。これは偏に、生産者の皆さん、関係者の皆さんが九沖農研が開発した品種・技術を積極的に導入し、自らのものとしていった結果だと思います。2年目に出てきた課題については、3年目に改善していくために、九沖農研としても引き続き協力させていきたいと思います。
大分県には、豊後高田という「春のいぶき」をいち早く導入した先輩産地もありますので、今後、栗原地区が「春いぶき」を活用した、九州の「高冷地そば産地」形成の起点となることを期待しています。そのために、九沖農研も引き続き連携していきたいと考えます。

栗原所長閉会のあいさつ
栗原所長閉会のあいさつ

法人番号 7050005005207