研究活動報告詳細

平成29年度第2回「農村を元気にする総合的な実証研究」シンポジウム開催報告

情報公開日:2018年3月28日 (水曜日)

開催日時

平成30年3月19日(月曜日) 13時00分~17時15分

開催場所

TKP秋葉原カンファレンスセンター ホール8A (東京都千代田区神田松永町4番地1 ラウンドクロス秋葉原8F)

開催概要

3月19日(月曜日)に「農村の未来を多様性で拓く」をテーマに第2回「農村を元気にする総合的な実証研究」シンポジウムを開催しました。

基調講演では、農林水産技術会議委員でもある栃木県茂木町の古口達也町長から、「農業で実現する地方創生」をテーマに、高齢化と人口減少が見込まれる中で地域を存続させ、活力あるまちづくりを推進するため、「定住、雇用、観光、子育て、教育、健康、環境」の7つのキーワードによる取り組みについてお話いただきました。

続く講演では、まず島根県美郷町の安田亮産業振興課長補佐には、「おおち山くじら地域ブランド」の展開を中心に、農研機構との連携や地域住民を巻き込んだ鳥獣対策の展開を紹介いただきました。農村女性を巻き込んだ、自助と互助、共助による有機的な人間関係に基づく対策技術を長年実践していることが印象的でした。

徳之島製茶の豊村友樹取締役には、農研機構育成品種「べにふうき」に着目し、機能製茶品種による産地化と商品開発の取り組みを紹介いただきました。「さとうきびの島」で、15年余りで茶産地を立ち上げる苦労を経て、和紅茶博覧会でグランプリを受賞するまでに至っています。

医薬健栄研の薬用植物資源研究センターの林茂樹主任研究員には、薬用作物の国内生産の抱える問題点と岡山県井原市での薬用シャクヤク新品種導入による産地化の取り組み等を紹介いただきました。生薬については、自給率1割で中国から8割を輸入し、価格も高騰している現状から国内生産の推進が必要であり、地域と連携した産地化の取り組みの課題について知る機会を得ました。

農研機構取組紹介においては、農村を元気にする総合的な実証研究の中で積極的に現地活動を行っている2題を紹介しました。農村工学研究部門の唐崎卓也上級研究員は、山形県河北町での農業を核とした地域振興へのVIMS(農村工学部門開発の三次元GIS)を活用した住民参加型活動の支援事例等を紹介しました。農業環境変動研究センターの楠本良延上級研究員は、茶草場の生物多様性の解明の他、大分県豊後大野市、広島県神石高原町での取り組みを踏まえた農業生産と生物多様性の両立の可能性について紹介しました。

その後、農研機構の環境・地域資源活用の研究推進担当理事である長谷部亮理事の司会進行のもと、多様性(品目、環境、人的)の観点で3名のパネリストと議論を行いました。まずは、NPO法人田舎のヒロインズの大津理事長から、農家女性の取り組みを紹介する中で、自らの就農、子育て、NPO活動の経験を踏まえての今後の農村のあり方や問題点(教育の多様性がない等)の意見が出されました。

中嶋康博東京大学教授からは、策定から約3年が経過した食料・農業・農村基本計画に対して地域の取り組みが目に見える形になってきたとのコメントの他、SDGsの観点で多様な農業が成熟した社会のあり様の一つとの認識が示されました。

古口達也茂木町長からは、都市農村交流が優良事例でも人口増に結びつかないことから、儲ける農業の必要性や農村のあり方から教育の重要性まで幅広い指摘がなされました。

限られた時間の中で盛りだくさんの内容で、個々の内容についてより詳しく聞きたかったとの意見がありましたが、現場の生の話を聞く絶好の機会としてとらえていただきました。今回は地方自治体の関係者の参加者が多く、今後への期待も寄せられたことから、農村における農研機構の活動に反映してまいります。


基調講演を行う栃木県茂木町の古口町長


パネルディスカッションの様子

法人番号 7050005005207