研究活動報告詳細

「改良連動スタンチョンによる乳牛への給飼法の改善」が平成23年度文部科学大臣表彰創意工夫功労者賞を受賞

情報公開日:2011年4月11日 (月曜日)

当研究所の草地研究支援センター業務第3科では「改良連動スタンチョンによる乳牛への給飼法の改善」の技術を考案しました。
この考案について、優れた創意工夫により職域における技術の改善向上に貢献した者を対象とした平成23年度文部科学大臣表彰創意工夫功労者賞を受賞しました。

受賞者

草地研究支援センター業務第3科
田代 文夫
鏑木 浩一
薄井 忍

伝達式の様子

伝達式1伝達式2伝達式3

創意工夫の内容について

改良連動スタンチョンによる乳牛への給飼法の改善

創意工夫の内容

近年、乳牛の多頭数飼養が増え、個体つなぎ飼いから省力的な牛群を放し飼いする方式の牛舎が増加している。放し飼い牛舎では、治療、検査、薬剤投与、人工授精や妊娠鑑定といった繁殖業務等でウシを捕獲したい時があり、給飼場に連動スタンチョンという捕獲装置が利用されている(図1)。

スタンチョンとは「首かせ」の意味である。飼槽の手前に柵状の連動スタンチョンを設置し、牛群の前に給飼すると、ウシがスタンチョンに頭を通過させ、食べようとして頭を下げると、事前の手動での捕獲設定により、自動ロック(鍵)がかかり首かせ状態になり、牛群の捕獲ができる。

連動スタンチョンの捕獲機能を利用して、牛群の採食競合(盗食)を防止することもできる。ウシはえさを給飼した時にほぼ一斉に採食するが、強いウシが弱いウシのえさを横取りしたりするので、給飼してからしばらくの間連動スタンチョンで捕獲状態にすることにより、えさの取り合いを防ぐことができる(図1)。

現在の連動スタンチョンは、事前に手動で捕獲を設定すると、給飼に誘導され牛群が自動的に捕獲されるが、解除も人が手動で行う必要がある。捕獲中は通常ほかに作業に移るために、解除し忘れが時に生じ、長時間捕獲状態のまま放置される場合がある。

そこで当所では連動スタンチョンを改良し、牛群の採食競合を防ぐために給飼時刻にタイマーで自動的に捕獲状態にして、一定時間を経過したら自動的に捕獲解除する電動制御システム(岡本製作所製)を開発した(図2)。

本受賞者3名は、改良連動スタンチョンシステムを運用するソフト面で次の二つの貢献をした。

  • ウシの行動から、給飼後の捕獲時間をおよそ40分とするのが適当として、ウシの生理や欲求行動を抑制しないような給飼法を提案し実践した。すなわち捕獲中はウシは横臥や飲水はできず、それが採食を抑制する可能性があり、採食を開始してから通常30~60分に飲水行動が観察されたことから、捕獲時間をおよそ40分とした。
  • 捕獲状態の牛群で採食競合を防ぐだけでなく、事前に牛群内の各個体の太り具合を定期的に調べ、太ったウシの前のえさを取り去り、やせたウシの前に給飼する作業を行い(図3)、太り具合のばらつきを均し、斉一性のある栄養管理を実践した(表1)。

以上の改良連動スタンチョンシステムを活用した給飼法の採用により、牛群の中で太り具合や乳量の異なる栄養状態のウシを一群で飼うことできる新しい給飼システムを開発し、実践運用している。

創意工夫の実績

当所の4群管理の放し飼い牛舎は、栄養状態の異なるウシを一群として栄養管理するために、個体ごとの配合飼料量を給与できるフィードステーションという自動給飼機を4基設置している。自動給飼機の使用は12年経過し老朽化による故障で更新の必要があった。

そこで4群(64頭)のうち、まず1群(16頭)をタイマー制御する試作機を開発導入した。1年間、故障なく稼働したので、牛舎の4群に改良連動スタンチョン方式を導入し、本候補者3名の発案により牛群内で個体別栄養管理を行うことが可能となった。この個体別栄養管理の実践によりウシの分娩前後の疾病がほとんどなくなり、治療費節減に寄与している。

改良連動スタンチョンの経費は約200万円であるが、牛群内個体別栄養管理が可能なフィードステーション、ドアフィーダ(個体識別給飼ドア)といった既存の個体別給飼機を導入(1000万円以上)した時に比べ、個体識別機能は人が行う点などでイニシャルコストが20~25%に抑えられるのが特徴である。平成22年6月現在、32ヶ月稼働しているが、停電にともなう復旧対処に留意する以外、故障等を認めていない。

図1

図2

図3

表1

法人番号 7050005005207