研究活動報告詳細

「乳用牛飼料の飼料成分分析・栄養価評価法の開発とフォーレージテストへの普及・推進」平成21年度畜産大賞研究開発部門「優秀賞」を受賞

情報公開日:2010年3月10日 (水曜日)

畜産草地研究所を中心とする研究グループの取り組みである「乳用牛飼料の飼料成分分析・栄養価評価法の開発とフォーレージテストへの普及・推進」が、(社)中央畜産会の平成21年度畜産大賞研究開発部門「優秀賞」を受賞しました。

研究担当者

代表者

農研機構 畜産草地研究所 畜産研究支援センター 中小家畜飼養技術開発室
甘利雅拡

研究グループ(自給飼料利用研究会幹事会)

農研機構 畜産草地研究所
寺田文典、梨木 守、梶 雄次、塩谷 繁、菅野 勉、野中和久、栂村恭子、永西 修、浦川修司、蔡 義民、上垣隆一、松山裕城
農研機構 北海道農業研究センター 村井勝、大下友子
農林水産消費安全技術センター 神戸センター 平岡久明
北海道立根釧農業試験場 出口健三郎
岩手県中央農業改良普及センター 増田隆晴
富山県農林水産総合技術センター 畜産研究所 金谷千津子
徳島県東部農林水産局 福井弘之
徳島県農林水産総合技術支援センター 畜産研究所 中井文徳
福岡県農業総合試験場 棟加登きみ子
山形大学 吉田宣夫
日本大学 梶川 博
十勝農業協同組合連合会 古川研治
財団法人 日本農業研究所 小川増弘
社団法人 日本草地畜産種子協会 高橋繁男

表彰式の様子

平成22年2月8日に農林水産共済組合「南青山会館」(東京都港区)で開催された平成21年度畜産大賞表彰式の様子を掲載します。

写真写真
写真写真
写真写真
写真写真

内容

背景と目的

酪農経営では、乳牛の能力を最大限に引き出して安定的な乳生産を図るため、成長や生産量に応じた栄養要求量の適正給与が必要である。また、酪農経営での生産費の45%以上を占める飼料費の節減は、経営の安定・強化を図る上で重要な課題である。特に、飼料価格が高騰・高止まりしている近年では、飼料の合理的な給与に向けた取り組みは、さらに重要性を増している。
そのためには、給与飼料の品質を簡便かつ迅速に測定する必要があり、1982年から近赤外分析法(Near Infrared Reflectance Spectroscopy:NIRS)が導入され、NIRSの利活用と飼料給与診断技術の向上を目的としたフォーレージテスト(粗飼料の品質評価)への実用化に向けた取り組みが進められてきた。中でも、NIRSによる粗飼料の品質評価については、都道府県、農業団体などの飼料分析センターの中心的な分析手法として利活用されている。

内容・特徴

このような状況を踏まえ、自給飼料利用研究会では、家畜の栄養状態の適正管理や効率的な乳生産のための飼料給与技術の向上を目指し、次のような活動を行ってきた。

  • NIRS実用化技術の推進
    わが国で生産される牧乾草やサイレージ類の粗飼料について、NIRSによる飼料分析のための基礎的研究を行い、各種成分について検量線の作成や分析精度を明らかにした。また、牧乾草、牧草サイレージの可消化養分総量(TDN)についても、従来法より高い精度で推定できることを明らかにした。さらに、より簡易な無粉砕試料の分析法の開発、新しいスペクトル解析手法による分析精度の向上など、その利用範囲を拡大させる研究も継続的に進めている。
    これらNIRSの実用化技術に関する知見や技術は、同研究会を通じて公表するとともに、飼料分析センターへの指導にも活用してきた。その結果、上述したように、NIRSは飼料分析センターの主要分析手法として確立され、個別農家が給与している粗飼料の成分と栄養価を迅速に把握できるようになり、飼料設計、給与診断などへの迅速な対応が可能となった。
  • 飼料分析に関する書籍の発行
    飼料分析法について、分析手順の統一化、分析精度向上に向けた取り組みを念頭に『粗飼料の品質評価ガイドブック』(自給飼料品質評価研究会編)、『粗飼料分析技術マニュアル』(畜産技術協会編)などを発行している。特に、『粗飼料の品質評価ガイドブック』については、畜産を取り巻く情勢の変化や新たな分析技術の開発・改良に対応して改訂を行い、2009年に第3版を発行した。
    これらは、公立試験研究機関、大学、民間研究機関など多方面で活用され、飼料分析に関する教科書的な役割を果たしている。この中でNIRSに関する成果・技術として検量線作成手順、検量線移設、実際の分析への応用などの内容が分かり易く記載されており、NIRS分析法の基礎的な知見の修得だけでなく、現場での利用推進に役立っている。

装置の写真など

近赤外線分析装置
近赤外線分析装置

近赤外分析による飼料成分分析のための測定セル
近赤外分析による飼料成分分析のための測定セル

化学分析による繊維成分の定量
化学分析による繊維成分の定量

粗飼料の品質評価ガイドブック
粗飼料の品質評価ガイドブック

自給飼料利用研究会とは

自給飼料利用研究会は、各地域の畜産関係機関に携わる研究者、指導者から構成される幹事会によって運営され、1983年から毎年開催されている。
同研究会では、自給飼料生産・利用・給与技術を主題として、畜産における最新技術情報や諸問題を随時取り上げ、農家指導や新技術の普及・教育の充実・展開を図っている。

法人番号 7050005005207