研究活動報告詳細

「豚肉の「おいしさ」評価と消費者受容に関する研究」が平成24年度日本養豚学会賞 第42回丹羽賞(学術賞)を受賞

情報公開日:2012年4月 3日 (火曜日)

授賞式メダル表彰状

受賞者

佐々木 啓介(畜産物研究領域)

研究の背景

国産豚肉の競争力強化のためには、消費者ニーズに沿った「おいしい」豚肉生産が可能となるような品質制御技術や製品開発が必要です。

しかし、「おいしさ」は見ることができない品質なので、消費者は豚肉を購入する際に「おいしいかどうか」を見た目やラベル表示、価格などから想像する必要があるのが現状です。そこで、豚肉の「おいしさ」を消費者に理解してもらうため、おいしさ因子の解明と、これをわかりやすく表示する技術が必要です。

また、近年、飼料自給率を向上させるという観点から、食品循環資源や飼料用米を養豚用飼料として活用することが政策的に進められています。さらに、これらの新たな飼料資源を活用することで新たなブランド豚肉を生産するという動きも見られます。そこで、これら技術で生産された新たな豚肉が消費者に受け容れられるかどうか、また食べてどのように感じられるかどうかを調べることで、消費者ニーズという観点からの新たな飼料資源の社会への定着条件を解明することが必要です。

研究成果の内容

1.豚肉における呈味成分の動態解明とセンサー技術による評価

豚肉は通常加熱調理後に食べられる食品です。このため、「おいしさ」を表示するためには、調理前に「調理したらおいしいかどうか」を予測するための技術が必要です。そこで豚肉のおいしさ因子の一つである水溶性の呈味成分の調理変化を調べたところ、呈味成分であるアミノ酸、イノシン酸、オリゴペプチド濃度は調理前後で相関があることがわかりました。また、豚肉の「煮る調理」の間に、呈味成分のうちアミノ酸とイノシン酸の総量は大きく変化せず、肉の内部から外部に流出する変化が主なものであることがわかりました。さらに、ブタの品種による呈味成分の違いを味覚センサーによって識別できることを明らかにしました。

2.食品循環資源利用型豚肉の「おいしさ」と消費者受容

飼料自給率の向上や飼料価格の高騰に対応し、食品循環資源を飼料原料として活用する「エコフィード」が政策的に進められています。そこで、まず「エコフィード」利用により大きく変動する品質要素である脂肪の口解けを簡単かつ詳しく解析する方法を開発しました。また、「エコフィード」利用により脂肪が溶けやすくなることがありますが、そのような変化はヒトが感知可能であるとともに、消費者の好みは「溶けやすい脂肪を好む」消費者と「溶けにくい脂肪」を好む消費者に別れることを明らかにしました。また、「エコフィード」利用豚肉への消費者イメージを明らかにし、養豚や養豚用飼料に対する知識の普及が「エコフィード」利用型豚肉の普及にも有効である可能性を示しました。

3.飼料用米利用型豚肉の「おいしさ」と消費者受容

飼料用米も、食品循環資源とならんで飼料自給率向上への貢献が期待されている飼料資源として活用が推進されています。そこで、飼料用米を活用して生産された豚肉を原料としたハムの「おいしさ」を調べ、このようなハムは従来品と識別できず、嗜好性についても遜色が無いことを明らかにしました。また、飼料用米活用型豚肉に「飼料米を食べさせました」という表示をした場合の消費者評価を調べ、このような表示をすることで高く購入する消費者が存在する可能性があることや、わが国の飼料自給率に関する消費者の意識に働きかけることが飼料用米給与型豚肉の普及に有効である可能性を示しました。

法人番号 7050005005207