研究活動報告詳細

「ウシ骨格筋におけるトロポミオシンアイソフォームの多様性に関する研究」が2012年度日本畜産学会奨励賞を受賞

情報公開日:2012年4月10日 (火曜日)

 

授賞式の様子

受賞者

大江 美香(畜産物研究領域)

研究の背景

食肉の品質を制御する技術を開発するためには、家畜の「筋肉」が「食肉」へと変化していく過程でどのような現象が起こっているかを知らなければなりません。「筋肉」は、家畜をと畜した後、熟成過程を経て、「食肉」へと変化します。熟成過程の初期には死後硬直が起こっています。この死後硬直時の筋収縮の程度が食肉の品質に影響するとされています。死後硬直時の筋収縮反応は、基本的には生体内の筋収縮反応と同一とされており、生体内での筋収縮反応の詳細を明らかにすることは、死後硬直時の筋収縮反応を理解するために重要です。

研究の内容

トロポミオシン(TPM)はアクチンと共に細いフィラメントを構成し、筋収縮の際にアクチンとミオシンの相互作用を調節する機能をもつタンパク質です。本研究では、TPMの分子種(アイソフォーム)に着目し、TPMの3種類のアイソフォーム(TPM-1,TPM-2,TPM-3)と筋線維型(速筋型、遅筋型)との関係を明らかにすることを主な目的として解析を行いました。

その結果、ウシ骨格筋においてTPM-2は速筋と遅筋の両方で発現していること、TPM-1は速筋で多く、TPM-3は遅筋で多く発現していたことから、TPM-2は筋線維型に関わらず発現するアイソフォームであるのに対し、TPM-1は速筋型の収縮に関与し、TPM-3は遅筋型の収縮に関与するアイソフォームであることが示唆されました(図1)。

以上の研究成果は、TPMをはじめとする筋タンパク質のアイソフォーム構成の違いが、食肉の品質の違いを説明する因子となりうることを示すものです。今後は、筋肉タンパク質の違いに着目した研究をさらに発展させ、食肉の品質制御の技術の開発に貢献していきたいと考えています。

図1_TPMアイソフォームと筋線維型(速筋型・遅筋型)との関係

法人番号 7050005005207