研究活動報告詳細

「自給飼料を活用した乳牛飼養に関する研究」が2013年度日本畜産学会奨励賞を受賞

情報公開日:2013年6月17日 (月曜日)

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受賞者

宮地 慎(家畜飼養技術研究領域)

研究の背景

乳牛は分娩前後の時期(周産期)に、分娩、急激な乳量の増加など、生理状態が激しく変化し疾病のリスクが高まります。そのため、健全かつ効率的な牛乳生産を行う上で、周産期の飼養管理は極めて重要です。しかし、国内で生産可能で為替変動等の影響を受けずに安定した畜産物生産が期待できるトウモロコシや飼料用米といった自給飼料をこのステージで活用する飼養管理技術に関する研究は、あまり進んでいません。トウモロコシサイレージは高エネルギーで多収であり、飼料用米はエネルギーやでんぷん含量が高く輸入穀実の代替として期待されています。

研究の内容

本研究では、周産期乳牛に対するトウモロコシサイレージの多給効果、飼料用米の品種、加工法毎に成分組成や分解性などの飼料特性、さらに泌乳最盛期牛への飼料用米給与効果を調べました。

その結果、濃厚飼料の一部をトウモロコシサイレージへ代替しても飼養成績は同等であることを明らかにしました。また乳牛において妊娠末期では、ルーメン容積は減少するが内容物滞留時間の短縮により採食量の減少が回避され、分娩後では、直ちにルーメン内容積が回復し、さらに内容物滞留時間が継続して短縮することにより採食量は漸増するといった乳牛の採食量調節機構を明らかにしました。

また、飼料用米に関しては、飼料用米の第一胃内でのでんぷんの有効分解率は、トウモロコシよりも高く、エンバク、コムギよりも低いことや、分解特性が品種により異なり、モミロマンは他の品種に比べ分解速度や有効分解率が高いことを明らかにしました。また、加工法の検討からは蒸気圧ぺん処理の有効分解率は高く、飼料用米の主成分であるでんぷんを最大限に利用するためには、蒸気圧ぺん処理が有効な加工処理法であることが示唆されました。

飼料用米給与に関しては、給与穀実(トウモロコシまたは玄米)を3割配合し、粗飼料としてホールクロップサイレージを用い、でんぷん含量を約35%と高めた場合でも、トウモロコシの代替として玄米の給与は、採食量や乳生産に悪影響を及ぼさないことを示しました。また、タンパク質源を大豆粕とした場合、玄米の代替給与により、家畜の窒素利用効率は向上することが示唆されました。これらの知見は「飼料用米の生産・給与技術マニュアル」に活用され、飼料用米の普及に貢献していると自負しています。

法人番号 7050005005207