研究活動報告詳細

「可変径式細断物成形機構の開発」が2014年度農業食料工学会技術奨励賞を受賞

情報公開日:2014年7月 3日 (木曜日)

受賞会場にて

受賞者

川出哲生(家畜飼養技術研究領域)

はじめに

乳牛等の家畜への飼料給与作業の省力化や飼料効率の向上を目的に、予め粗飼料と濃厚飼料をミキサで混合調製するTMR(Total Mixed Rationの略語)の普及が進んでいます。しかし、発酵タイプのTMRの代表的な製造方法であるフレコンバッグに密封する方法では、詰め込み作業の労力が大きい、梱包密度が低い、夏期にカビが発生しやすい等の課題があります。そこで近年、TMRを細断型ロールベーラを用いてロールベール(以下、ベール)に成形し、ベールラッパで密封して調製する方法が行われていますが、一梱包あたりの量が一定となり、対象農家の規模範囲が限定されることが指摘されています。
そこで、TMRセンターでの利用を念頭に置き、細断型ロールベーラの技術を応用・発展させて、TMRを投入量に応じて直径の異なる高密度なベールに梱包できる可変径式細断物成形機構を開発しました。

1. 開発機構の概要

本機構は、細断物をこぼれが少なく成形することができるバーチェーン式の細断型ロールベーラ(成形室直径0.8m、幅0.85m)をベースとし、直径を1mまで拡大できる成形室があります(図1)。成形方法は次の通りです。1最小径0.8mまでは定径式のロールベーラと同様に、成形材料が成形室内を転がりながら丸められ、成形室が材料で満たされるにつれてベールの外周から中心方向に固く締められます。2バーチェーンは一定の張力を保つよう、ガススプリングが取り付けられたテンションスプロケットで支持されており、成形室内の材料が一定量を超えると成形室直径を押し広げようとする力が作用し、これによってガススプリングが収縮し、テンションスプロケットの位置が移動することによって、材料の供給量に応じて成形室直径が0.8mから1.0mまで拡大します。ベール直径は供給される材料の量に応じて無段階に変化しますが、ガススプリングの縮み量から、設定直径を0.8m、0.9m、1.0mの3通りに設定できるようにしました。

成形室の模式図
図1 成形室の模式図

2. 動作確認試験

TMR(平均含水率38%、平均粒径8mm)を用い、設定直径を0.8、0.9、1.0m(各3反復)とした動作確認試験を行いました。試験の結果、TMRを異なる直径のベールに成形でき、その形状は良好でした(図2)。ベール直径はいずれのベールも設定直径とほぼ同じとなりました(ベール幅はいずれも0.9m)。ベール質量は、設定直径0.8mで278±8kg(平均±標準偏差)、同0.9mで375±16kg、同1.0mで491±13kgとなりました。乾物密度は、設定直径0.8mで平均388kg/m3、同0.9mで平均445kg/m3、同1.0mで平均443kg/m3となりました。ロス率は、設定直径0.8、0.9mで約2%、同1.0mで3.9%となりました。しかし、設定直径1.0mのベール放出時に、成形室の開放動作が途中で止まってしまう問題が発生し、改良が必要であることが判明しました。

成形密封されたロールベール
図2 成形密封されたロールベール

おわりに

以上、バーチェーン式で成形室直径0.8mの細断型ロールベーラをベースに可変径式細断物成形機構を開発し、TMRを直径の異なる高密度なベールに成形できることを確認するとともに、課題を抽出しました。本研究は農水省委託プロ「粗飼料多給による日本型家畜飼養技術の開発(通称:えさプロ)」のもとで実施しました。本研究を行うにあたり、共同研究者の各位および三重県畜産研究所、株式会社タカキタに多大なるご協力を賜りました。記して感謝の意を表します。なお、本研究は、農研機構 生物系特定産業技術研究支援センター(生研センター)在籍時での業績です。

法人番号 7050005005207