研究活動報告詳細

「暖地型芝草品種の育成と利用法」が日本芝草学会賞(技術部門)を受賞

情報公開日:2014年7月 9日 (水曜日)

賞状とメダル

受賞者

小林 真(飼料作物研究領域)

内容

芝草はその多くが牧草と同じ種に属し、低草高・高被覆能力を有する品種・系統が芝草として利用されています。そのため、遺伝・生理等の基礎的特性に関しては牧草と共通の研究資源が適用できますが、実用性の評価には利用場面に即した試験が必要です。
土壌保全・緑化利用などの利用場面に向けて、熱帯農業研究センター沖縄支所(現:国際農林水産業研究センター熱帯・島嶼研究拠点)において行った畦間被覆作物によるパイナップル圃場の土壌保全試験及び、畜産草地研究所那須研究拠点において行ったシバ品種育成及び低コスト造成試験が認められ、日本芝草学会賞(技術部門)を受賞しました。

1. パイナップル圃場の土壌保全試験

南西諸島では、特有の気象・地形・土壌条件のため土壌流出が発生しやすく、土壌流出は農業においては地力低下をもたらし、海洋流出・海洋生態系の攪乱とそれに伴う珊瑚礁の衰退が漁業・観光業へも被害を与えるため、大きな地域的問題となっています。パイナップル圃場は傾斜地に多く、生長が遅いことから土壌流出の一要因とされており、定植後パイナップルの茎葉が土壌を被覆するまでの1年間、被覆作物によって畦間を被覆することが求められていました。この目的を達成するためには、省力的に播種可能であること、発芽・初期生育が良好で雑草に負けないこと、芝刈をしなくても低い草高が維持され、パイナップルの生育を阻害しないこと、などの特性が必要です。試験の結果、パイナップル株元を黒色ポリマルチで被覆し、センチピードグラス種子を接着した被覆資材で畦間を被覆することにより、灌水・施肥・芝刈なしの条件で定植後1年間の畦間被覆が達成できることが明らかになりました。

2. シバ品種の育成及び低コスト造成試験

低投入持続型放牧に適した飼料資源として我が国在来のシバが見直されています。草地造成の効率向上のため、匍匐茎による広がり能力の高い品種「朝駆」を育成し、2002年に品種登録されました。「朝駆」は低い密度で定植しても早期に被覆する特性から、草地造成や道路・畦畔等の土壌保全に役立つことが期待されています。
次に、芝密度の高い品種「朝萌」を育成し、2004年に品種登録されました。「朝萌」は雑草に負けにくい特性があるため、スポーツグラウンドや校庭の緑化に採用され、普及が進んでいます。造成コスト節約と養生期間短縮のため、寒地型芝草の先行播種とシバ「朝萌」ポット苗定植を組み合わせた造成試験を栃木県内のグラウンドで行い、6年がかりでグラウンドを利用しながら芝生を改良することに成功しました。校庭の芝生化においては、造成時の種苗代・労賃が制約になることが多いため、児童・生徒自ら取り組むことができるポット苗移植法を「時間と人手はかかるがお金のかからない方法」として提案し、普及に取り組んでいます。
生長点由来カルスからの再分化能が高い「シバ中間母本農1号」を育成し、2009年に品種登録されました。この品種は実用栽培ではなく、遺伝子組換え等の実験材料としての利用が期待されています。

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法人番号 7050005005207