研究活動報告詳細

平成26年度第1回東北農研連携推進ツアー

情報公開日:2014年5月30日 (金曜日)

農研機構東北農業研究センターが昨年度から実施している「連携推進ツアー」は、所長をはじめ産学官連携に携わる職員らが、農業生産や食品加工等の現場を訪問し、担当者の方々との対話を通じて、開発技術の普及可能性や新たなニーズを探ることに大きな目的があります。

今年度の第1回は、5月28日(水曜日)に、畑作園芸研究領域の谷口上席研究員の案内で総勢13名が、一関市の「農事組合法人アグリパーク舞川」と「世嬉の一酒造株式会社」を訪問しました。両社は、地元の産学官地ビール研究会の活動を通じて、東北農業研究センター育成の大麦「小春二条」を使用した地ビールの商品化に取り組んできました。「小春二条」を活用した6次産業化の事例であるといえます。

アグリパーク舞川は、北上川の遊水池内に造成した圃場123haで現在40haの麦作に取り組み、「小春二条」のほかにも当センター育成のパン用小麦「ゆきちから」、菓子用小麦「ゆきはるか」、超強力小麦「銀河のちから」を導入しています。これら品種の作付け圃場を見せていただきながら、専務理事の小野正一さんにお話をうかがったところ、試験導入も含め栽培9年目を迎える「小春二条」については、栽培に気を遣わずに済み、大変作りやすい品種との評価をいただきました。アグリパーク舞川では収穫した「小春二条」を使用して麦芽を製造し、これを地元メーカーに供給することで100%地元産のビールづくりを支えています。今後も地ビールづくりの一翼を担っていくうえでは、農作業の担い手確保はもちろんのこと、麦芽製造技術の継承が大きな課題とされています。

次に訪問した世嬉の一酒造では、アグリパーク舞川が製造した麦芽によるペールエール、バイツェン、ホワイトエールの3種のビールを開発し「こはるビール」として販売してきました。現在はそのなかで若い世代の嗜好に合ったホワイトエールが、主に首都圏や関西の飲食店向けとして出荷されています。「こはるビール」は季節限定ビールとして扱われていますが、代表取締役社長の佐藤航さんによれば、海外産麦芽を使用する場合に比べ原価率が高い商品になってしまうことやアグリパーク舞川でのビール用麦の作付面積拡大、麦芽製造に限界があること等が、製造量の増大を難しくしているとのことでした。

地元産の麦で作った麦芽で地ビールを製造している例は、全国でも少ないそうです。地ビール人気を背景に、地元産にこだわった商品への需要は高いものの、簡単には生産拡大ができない現状があります。近年、6次産業化への取り組みが盛んに推進されていますが、6次産業化を成功させるだけでなく、その成功を地域でどう引き継ぎ発展させていくか、次のステップをにらみつつ取り組みを進めていく必要があることを実感した訪問となりました。

「小春二条」が広がる圃場で、小野さんからお話をうかがいました
「小春二条」が広がる圃場で、小野さんからお話をうかが
いました

ビールの製造工場を見学しながら、工程について説明を受けました
ビールの製造工場を見学しながら、工程について説明を
受けました

法人番号 7050005005207