研究活動報告詳細

平成26年度第2回東北農研連携推進ツアー

情報公開日:2014年7月 1日 (火曜日)

梅雨の晴れ間をぬって、6月26日(木曜日)に「小岩井農牧株式会社」(雫石町)と「株式会社西部開発農産」(北上市)を総勢15名で訪問しました。現在、両社からは東北農業研究センター育成の飼料用作物の現地試験にご協力いただいています。

畜産飼料作研究領域の藤森上席研究員の案内により訪問した小岩井農牧(株)は、開設から120年以上の歴史を持つ農場で、約500haの広大な牧草地を有しています。収穫した牧草は自社で使用するほか、主に繁殖牛の飼養農家に販売しているそうですが、近年は夏季の高温により、永年草地の生産性を10年保持することが難しくなっているとのこと。そのため、劣化してきた草地の最後の数年間に利用できる品種として、東北農業研究センター育成のフェストロリウム品種「東北1号」が期待されており、昨年から1haほど栽培されています。酪農部の高橋勝明さんに早速、試験圃場を見せていただき、取り組みの経過についてうかがいました。湿地を一部に含む圃場では、2週間ほど前に一番草が刈取られたばかり。刈取り適期は出穂直前ですが、今回は適期を逃してしまい、予乾期間の降雨の影響で品質も低下してしまったそうです。今後は、追播した場合にどの位定着できるかをみていくとともに、「東北1号」の給餌による生産物への影響を確認していくことも課題としています。また、東北農業研究センターの試験研究に対しては、高橋さんから基礎的な研究だけでなく、生産者や実需者がすぐ取り組めるような実用的な技術の開発に取り組んで欲しいとのご要望もいただきました。

次に訪問した(株)西部開発農産は、借地を中心とする農地集積により本州最大規模の650haを経営し、近年ではベトナム等、海外での稲作に着手したことで知られています。肥料工場をもつ県内の畜産業者との契約栽培で飼料用米の栽培に取り組み、自社の畜産部門でも試験的給与を開始しています。今年度の飼料用米作付面積は、稲作付面積全体の38%程度。2009年から飼料用米品種育成のための現地試験をお引受けいただいており、東北農業研究センター育成品種「いわいだわら」への評価をはじめ、大規模経営の現状や課題について、米穀課の菅野一成さんにお話をうかがいました。「いわいだわら」について、これまで5年間作付けてきた感触では期待できる品種とお考えとのこと。農地の貸出しを希望する生産者が年々増加するなかで、将来的には飼料用米の作付面積を増やさざるを得ないとみているそうです。現在、西部開発農産では、岩手県農業研究センターと東北農業研究センターとの共同育成による「岩手飼116号」の現地試験も実施しており、同行した水田作研究領域の福嶌主任研究員によれば、県との共同育成による初めての飼料用米品種となる見込みです。飼料用作物の品種育成をテーマとした今回の訪問では、西部開発農産から試験研究機関への要望として、「1品種に偏らないよう、魅力ある品種を広めてほしい」との言葉がありました。

生産者や消費者、実需者の多様なニーズに即した技術開発を心掛けていくことの重要性が指摘されているところですが、研究サイドの独りよがりに陥らないよう、ニーズが発するところの「問題」にも広く眼を向け、現場の声に耳を傾けながら開発に当たっていきたいものです。

一番草の刈り取りが終わった試験圃場で、お話をうかがいました。
一番草の刈り取りが終わった試験圃場で、お話をうかが
いました。

晴天のもと、サイレージの製造作業が行われていました。
晴天のもと、サイレージの製造作業が行われていました。

地域農業をめぐる取り組みについて、熱心な質問が相次ぎました。
地域農業をめぐる取り組みについて、熱心な質問が相次
ぎました。

今後が楽しみな共同育成による飼料用米品種「岩手飼116号」。
今後が楽しみな共同育成による飼料用米品種
「岩手飼116号」。

法人番号 7050005005207