研究活動報告詳細

平成27年度第2回東北農研連携推進ツアー

情報公開日:2015年6月29日 (月曜日)

岩手県はもち米の生産上位県であり、中でも盛岡市に隣接した紫波郡矢巾町、紫波町周辺の生産量は多く、その主要品種が東北農研育成 (1962年) の「ヒメノモチ」です。6月26日に実施した平成27年度第2回東北農研連携推進ツアーでは、初めに、この岩手紫波町産「ヒメノモチ」を含め、穀類の製粉から和菓子の製造・販売までを一貫して手掛けておられる「岩手阿部製粉」 (岩手県花巻市石鳥谷町) を訪ねました。岩手阿部製粉は、「芽吹き屋」のブランドでもよく知られています。東北農研からは、稲の品種育成を担当している太田上席研究員 (水田作研究領域) にも同行いただきました。本社工場での和菓子やクッキー等の製造工程の見学では、阿部工場長のご案内により、異物混入が度々問題になる昨今の社会状況をふまえた厳重な安全対策や、「冷凍和菓子」の製造における通常の酵素剤に頼らない天然の材料を使用した品質へのこだわりなどを伺いました。その後の懇談会では、東北農研から菓子製造における素材の候補として、もち米「ときめきもち」、米粉用水稲品種「ゆめふわり」などを紹介させていただきました。同社の取り組みに関する様々なお話をいただく中で、かつて東北農研で育成した「ヒメノモチ」のもち米におけるブランドの大きさを改めて認識させられました。今後は、製品開発に際して、米を始め様々な作物の利用に関する質問・要望等をお寄せいただきながら、新製品や高品質な和菓子等の製造に東北農研開発品種が貢献する足がかりを得ていく必要がありそうです。工場に隣接する「ビオトープ芽吹き屋」で、花巻の稗 (ヒエ) を使用した「稗麺」、もち米を使用した「おこわ」などの昼食をとり、同社を後にしました。

新品種を普及していくうえで、許諾契約を結び種子の増殖・販売を担う種苗会社、種苗店の協力は欠かせません。2件目の訪問先は、東北農研開発品種の「にじゆたか」 (ソバ) 、「朝紫」 (紫黒米) などを取り扱っていただいている「佐藤政行種苗」 (岩手県紫波郡矢巾町) です。佐藤政行種苗では、岩手県における様々な作物の固定種の選抜・増殖による優良な地域資源を守る業務の他に、同社販売品種である枝豆の「秘伝」を柱に、「秘伝物語」としてパウダーや豆乳の開発、県内豆腐屋さんとのコラボ商品など、種苗の販売のみならず様々な利用法の提案も行っています。対応いただいた松浦社長、長澤係長からは、東北農研開発品種の普及の状況についてもお話を伺いましたが、その際には種苗の提供に加え、関連する技術の受け渡しの重要性のご指摘もいただきました。具体的には、四季成りイチゴの「なつあかり」や「デコルージュ」について、ランナー (匍匐枝) 発生が少ないことが増殖の (すなわち普及の) 妨げになっている状況が紹介され、解決技術に関する宿題をいただきました。今回の訪問をきっかけとして気軽に問い合わせいただくことが可能になり、今後は開発品種の栽培技術情報をも付帯したよりスムーズな普及が期待できます。さらに同社では毎年、約400人の農家を対象に、農機具や種苗の展示、講演会を内容とした「農業問題研究会」を開催しており、農家の技術及び知識の向上に貢献しています。東北農研としてもこうした取り組みに参加させていただくことで、地域農業への一層の貢献が可能になることから、今後の協力をお約束し訪問を終えました。

今回は製粉・和菓子製造会社と種苗会社でしたが、いずれも忌憚のないご意見・ご要望を寄せていただくための、日頃の連携の必要性を改めて感じたツアーでした。

阿部製粉工場見学
阿部製粉 (芽吹き屋)
での工場見学
阿部製粉意見交換
阿部製粉 (芽吹き屋)
での意見交換
佐藤政行種苗意見交換
佐藤政行種苗
での意見交換
佐藤政行種苗取扱い品種
佐藤政行種苗
取扱い品種の一部

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法人番号 7050005005207