研究活動報告詳細

平成27年度第5回東北農研連携推進ツアー

情報公開日:2015年10月21日 (水曜日)

岩手県薬草生産組合への訪問

漢方医学は中国を起源とし日本で発展した伝統医学であり、その理論に基づき処方される"漢方薬"の原料となる生薬は、国内で282種類使用されています。生薬の生産国は中国や日本などですが、総使用量に対する生産国の割合は中国産が80.3%と日本産の11.7%に比べて圧倒的に多い状況にあります (平成24年度) 。しかし近年、中国での需要の高まりを受けて輸出制限が行われるようになり、原料確保の観点から、日本国内での生産量増加を図る取り組みが活発化しています。岩手県では薬草を中山間地域の戦略作物と位置づけているため、生産量も多くその重要性は一層増しており、雑草抑制等管理の機械化に関する取り組みも行われています。こうした状況を受け東北農研では、次年度以降、薬草栽培に関する研究面での取り組みを検討しています。そこで第5回東北農研連携推進ツアー (10月14日) では、農事組合法人岩手県薬草生産組合 (岩手郡岩手町) を訪問しました。

同組合では、漢方薬製剤メーカー大手との全量契約栽培を行っています。対応いただいた伊藤総務部長によれば、現在の組合員は岩手県県北市町村の約200名であり、センキュウ (川芎) 、ソヨウ (蘇葉) 、トウキ (当帰) 等10種類以上の薬草を栽培しているそうです。生産者からは苗の選別や栽培に関するお話をお聞きするとともに、加工 (乾燥) 施設の見学では、機器や作業の流れもご説明いただきました。意見交換会では薬草栽培における除草等の課題、病害に対する対策、薬草と他作物との輪作に関する検討の要望などを伺い、研究面で対応が必要な点についても理解が進みました。今後、研究の実施を含め相互に協力させていただく可能性があることから、交流を継続していく必要があると考えています。

廃食用油のバイオディーゼル燃料化研究に関わる訪問

生物由来油の廃食用油から生産したBDF (バイオディーゼル燃料) の利用は、CO2排出量が計上されないため、地球温暖化の抑制、すなわち環境負荷低減に関わる取り組みとして重要です。東北農研では廃食油の発電機への利用研究に関し、いわて生協 (滝沢市) 及び (有) ピース (奥州市) の協力をいただいていることから、両社関連施設を訪問させていただきました。いわて生協セットセンター (金子センター長) では、発砲スチロール減容化作業で電力を供給している発電機の燃料として、組合員から回収した廃食油を利用しています。本作業に関し、ディーゼル発電機に加熱装置、燃料フィルタ及び燃料供給ポンプを設置する改造を施し、廃食油で稼働する試験を実施しています。いわて生協では、廃食油からのBDFを盛岡市内で5台のトラック燃料として使用しているものの、近年のクリーンディーゼル車への利用は困難なことから使用量は限られています。通常、油脂をBDFとして利用するには、脂肪酸メチルエステル (FAME) に変換の上、グリセリンを除去するなどの処理を行います。生協で回収している家庭からの廃食油は、酸価が低いためBDF利用に適しており、遠心分離による夾雑物の除去のみで発電機に供給できる点で優れています。東北農研のBDF利用法は、コスト面でメリットがあることから、今後もいわて生協の協力をいただき、低気温下の発電に関するデータを取得するなど、発電機燃料としての利用に関する検討を継続することになります。

(有) ピース (代表、家子秀都氏) は、農産物の生産・販売のみならず、建築、土木など幅広い事業を展開しており、地域農業の存続に大きな役割を果たしています。有機栽培米の生産においては環境保全農法を実施、USDA認証、EU栽培認証、有機JAS栽培認証などを取得しています。さらに、環境負荷低減の取り組みとしてBDFを積極的に利用しており、廃食油 (生協回収品) の利用量は平成23年の400リットルから平成26年には12,575リットルまで増加、平成27年はさらに増加予定であり、カーボンオフセットの実施に大きく貢献しています。当センターでは、使用電力量に幅のある穀物乾燥機の電源 (発電機) としてBDFを利用した試験の実施に協力いただいており、継続的に電力消費量の計測を行っています。今後もBDFに関する試験で協力をいただきながら、環境負荷低減のみならず経費削減に関する実証を進める予定にしています。

写真1
いわて生協で減容化した発泡スチロール
写真2
いわて生協での意見交換
写真3
(有) ピースで実施中試験の見学
写真4
(有) ピースでの意見交換
法人番号 7050005005207