研究活動報告詳細

平成28年度第2回東北農研連携推進ツアー

情報公開日:2016年11月16日 (水曜日)

10月31日 (月曜日) に「農業生産法人 有限会社 キロサ肉畜生産センター」 (岩手町) を総勢12名で訪問しました。キロサ肉畜生産センターでは交雑種 (黒毛和種(和牛)× 乳用種) のみを飼養しています。交雑種は和牛よりも飼料効率が良いため、リーズナブルな価格体系で和牛のうま味を持つ肉を提供できるとのことです。岩手県内の直営牧場2ヵ所のほか、北海道など1道5県の委託農家にネットワークを広げ、交雑種の飼養頭数では日本一の規模を誇ります。

良い牛肉を作るには、優良な肥育素牛の確保が欠かせません。そのため、キロサ肉畜生産センターでは、生後1ヵ月齢からの哺育システムと生後約8ヵ月齢からの肥育システムを連動した哺育・肥育一貫生産を実施しています。また、哺育牛・肥育牛ともに飼育密度が1頭あたり約2坪のゆったりとした牛舎で飼育することでストレスを軽減させ、アニマルウェルフェアに配慮した取り組みをしています。牛舎を見学させていただきましたが、牛房にはたっぷりとおがくずが敷かれ、ほとんどニオイがしなかったのが印象的でした。さらに、毎月、一頭毎に体重測定を行っており (肥育期では2ヵ月に1回) 、この体重測定のデータが即座にフィードバックされ、健康で美味しい牛肉生産に繋がっているとのことでした。

キロサ肉畜生産センターでは、自社配合飼料工場(北岩手飼料組合)を保有し、安定した品質の飼料を牛に与えています。特にトウモロコシの代替となる安定した飼料原料として飼料用米に着目し、岩手県の肉牛生産では最も早い平成21年に飼料用米の試験給与を行い、平成22年から本格的に給与を開始しました。現在は加熱圧ペンされた飼料用米を自社配合飼料工場で混合し製造した飼料を肥育牛 (肥育後期) に給与しており、生産した牛肉を「玄米育ち『岩手めんこい黒牛』」として、主に岩手県内や首都圏で販売しています。

飼料用米 (玄米) はJAのほか、岩手県内の生産農家や企業、秋田県内の企業から購入し、県内の業者に加工を委託しています。加熱圧ペンは消化性を考慮して、3種類の厚さに加工しているとのことですが、加熱圧ペンする際、モチ性のある、粘り気の強いコメ品種は機械に貼り付くため使いづらく、モチ性の低い飼料用米専用種が好ましいというお話でした。

さらにキロサ肉畜生産センターでは、循環型農業を実現するために、堆肥の還元を推進しています。一般より長い6ヵ月の熟成期間を設け、堆積・発酵後、切り返しを数度行い、ふるいを掛けることで、化学組成も安定した高品質の堆肥ができているとのことです。堆肥は飼料用米作付け水田に施肥され、水田で生産される玄米を牛の飼料として給餌することで循環型農業を実現しています。

ご案内いただいた取締役の村山さんからは、飼料用米給与による肉牛の生産だけでなく、加工の観点からの飼料用米の適性や堆肥を用いた循環型農業まで説明していただきました。ニーズを把握する上で現場を見学し、意見を伺うことの重要性を改めて認識するとともに、今後の研究を進めていく上で貴重なお話を伺うことができた訪問となりました。

写真1
事務所での意見交換
写真2
牛舎の見学
写真3
飼料工場 (加工された飼料用米) の見学
写真4
堆肥工場の見学
法人番号 7050005005207