研究活動報告詳細

平成30年度第1回東北農研連携推進ツアー

情報公開日:2018年8月 2日 (木曜日)

「上小田代」訪問 農研機構東北農研で開発されたクッキングトマト「すずこま」は加熱調理用のトマトで、イタリアンを始め色々な料理に利用可能です。平成30年度第1回の連携推進ツアーは、「すずこま」の生産からピューレ加工や販売まで、6次化農業を実践されている特定農業法人「上小田代」 (奥州市江刺区) を訪問しました。

「上小田代」は - 愛しのぶどう沢 こざっぱりした大地 - というキャッチフレーズのもと、中山間地で傾斜地が多い条件の中、米をはじめ多品目の生産を行っています。代表の伊藤周治さんによると、「すずこま」は、鍋の素やラーメンに加工するとともに、ピューレや果実は地元ホテルや東京、仙台、岩手のレストランなどに販売されているとのこと。ピューレは「赤色」がとてもきれいで非常に評判が良いそうで、「すずこま」と出会えて良かったとの言葉をいただきました。トマト栽培では、収穫時の軽労化の工夫についても紹介いただき、キュウリ栽培ではフォアス (地下水位制御システム) とオプシス (畑地用地下灌漑システム) を取り入れた先進的な農業にも取り組まれています。なお現在、カモシカの獣害に悩みとのこと。被害の多い大豆を一部タマネギに変更する対策を進めながらも、「中山間地の営農は、対策は必要だが、動物と共存しなければならない」というお言葉は印象的でした。また、畦畔の傾斜地の土壌侵食が問題となっているとのことでしたので、東北農研が3月に公開した「除染後の省力的畦畔管理技術マニュアル」と、今年度から東北農研が岩手県と研究を行うイブキジャコウソウの情報を提供し、意見を交換しました。

「ピース」訪問 東北農研では、農家自身が製作及びメンテナンス可能な「通い農業支援システム (遠隔地でほ場の情報をリアルタイムに知る) 」に関する研究を実施しています。このシステムは、東日本大震災後の営農再開の支援を目的としてはいますが、他の場所でも軽労化の道具として利用可能です。そこでシステムの実証試験でお世話になっている「有限会社 ピース」 (奥州市江刺区) の育苗センターを訪問しました。

「ピース」の農産部では、米の生産を、育苗から収穫、乾燥、販売まで一貫で行い、有機栽培や多品種を要望に合わせて生産されており、他に農作業の請負や種苗販売も行っています。「ピース」は、育苗時の夜間の温度確認に関する管理を軽労化するために、育苗機の温度について、1時間毎の値と、異常時にはすぐにアラート機能により、スマートフォンに知らせるシステムの試験で協力していただきました。家子社長によると、その結果、当番制で行っていた毎夜の見回りが緊急時だけの対応になり、労力が1/50になったとのこと。センサーや通信機は市販されている安価な物で、製作や修理も簡易で、維持管理が簡単な点と合わせ高い評価をいただいています。今後も試験に関し継続的な協力をいただく予定になっています。

今回訪問させていただいた両法人は、収益増加だけでなく、軽労化にも力を入れている点が共通していました。収量と品質の向上だけでなく、それらを達成するための労力が技術開発の上で無視できないことを改めて実感できた1日となりました。

写真1
「上小田代」での意見交換
写真2
「すずこま」フラワーネットで収穫時の軽労化
写真3
「ピース」での意見交換
写真4
通い農業支援システムで利用するセンサー部分

東北農研連携推進ツアー

平成30年度 第1回
平成28年度 第1回 第2回
法人番号 7050005005207