研究活動報告詳細

平成30年度第3回東北農研連携推進ツアー

情報公開日:2018年9月12日 (水曜日)

黒毛和種の子牛価格は、平成29年の全国平均で79万円と平成21~22年の約2倍です。これは、繁殖牛の減少による出生頭数の減少が大きな原因です。このような急激な子牛の価格上昇は、肥育農家の経営を圧迫し、牛肉生産全体を考えると、決していいことではありません。そこで、これからの東北での子牛生産を考える上で、生産現場の声を伺うために、平成30年度第3回の連携推進ツアーは8月3日、奥州市で黒毛和種の繁殖牛を飼養する「保科牧場」と「菊池牧場」を訪問しました。

保科牧場は、前沢牛の繁殖・肥育の一貫経営牧場です。繁殖牛40頭、肥育牛60頭を飼養しています。牛舎新築に伴う増頭計画の中では、子牛の安定調達のために、肥育牛だけでなく、繁殖牛も加えています。分娩間隔は、早期離乳とフリーバーンによる群飼いによって、ほぼ1年を達成しています。また、放牧することによって、分娩間隔が1年を切っていた実績を持っています。粗飼料の調達については、飼養頭数に対して草地面積が6ha弱と小さいため、地域の水田農家のわらと堆肥の交換を積極的に行っています。堆肥は繁殖牛と肥育牛では成分が異なるため、偏ることがないように混ぜて散布しています。また、草地造成の計画もあります。今のところ、播種草については決めていないとのことだったので、現有草地の更新も含めて、草地の利用方法 (採草、放牧) によって草種を変える重要性をお話しさせていただきました。さらに、前沢牛祭りなどで消費者と直接お話しをする際に、前沢牛の特徴を聞かれるということなので、肉質の良さに加えて国が認めた地理的表示保護 (地域で育まれた伝統と特性を有する農林水産物・食品) の対象であることをアピールしてはとお話しさせていただきました。

菊池牧場は、黒毛和種牛の繁殖牧場です。繁殖牛100頭、育成牛20頭を飼養し、育成牛はキャトルセンターに預けています。分娩間隔が400日を超えており、短くするために、牛歩ライト (行動観察用の機械) や背中のペイントを検討しているということなので、効果について情報をお伝えしました。草地面積は40ha程度で、その内放牧地15haは転作田を利用しています。採草地は主に山の草地を利用し、チモシーを栽培しています。チモシーの肥培管理はこの地域で一般的なオーチャードグラスとは異なるため、施肥の時期と分配率に関して説明させていただきました。また、現地試験として、転作田を利用した採草地では東北農研で開発したフェストロリウム「東北1号」、放牧地ではペレニアルライグラス「東北7号Pr」の栽培を委託しており、現状について意見交換をさせていただきました。

どちらの牧場とも、全国で繁殖牛が減少している現状をピンチではなくチャンスととらえ、規模拡大を予定しています。東北農研としては、自給飼料生産や繁殖技術とともに、子牛の育成についても、目を向けていく必要があることを再確認しました。

写真1
牛舎で意見交換 (保科牧場)
写真2
子牛 (保科牧場)
写真3
転作田放牧地で意見交換 (菊池牧場)
写真4
建設中の牛舎 (菊池牧場)

東北農研連携推進ツアー

平成30年度 第1回 第2回 第3回
平成28年度 第1回 第2回