研究活動報告

令和2年度第1回東北農業研究センター連携推進ツアー

情報公開日:2020年8月24日 (月曜日)

農研機構東北農業研究センターでは、東北農業の「Society5.0」の早期実現を目指し、AIやICT、ロボット技術を導入するスマート農業に関する研究開発を重点的に推進しています。昨今の農業分野では、担い手は年々減少し高齢化が進んでいます。特に畜産分野ではその傾向が著しく早急な対応が求められており、ロボット等を活用した作業の省力化技術がより一層重要になっています。そこで令和2年度第1回連携推進ツアーは、搾乳ロボットを導入した酪農経営体の(有)アグリファイン(岩手県花巻市)を8月5日に訪問し、搾乳ロボット導入の経緯や導入後の効果などを中心に情報交換を行いました。

本経営体は平成18年に法人を立ち上げ、初妊牛を導入することから始めた牧場です。現在では経産牛約210頭、育成牛約160頭を飼養しています。飼料基盤は約80haのデントコーンと約30haの草地で、収穫後は全てバンカーサイロ体系で調製しています。乳量は県内でもトップレベルで、出荷乳量は1日約8000kgにのぼります。もともとはパラレルパーラーのみで搾乳していましたが、平成31年に搾乳ロボット2基を導入し、パラレルパーラーと併用して搾乳しています。搾乳ロボットを導入することでやや作業時間が軽減されたとのことですが、搾乳ロボットになじめない牛、乳頭があわない牛などが存在し、搾乳作業全てを搾乳ロボットにすることは考えていないということでした。牛が搾乳ロボットへ訪問する動機はエサがもらえるからですが、想定通りに訪問しない場合もあります。高泌乳であればあるほど精密な栄養管理が要求されるため、搾乳ロボット導入にあたっては飼料設計が難しくなることが課題と考えられました。草地では、タンパク質に富み飼料価値が高いけれども府県での取り組みは難しいとされているアルファルファの栽培が行われていました。東北農研では、タンパク質源として飼料用大豆ホールクロップサイレージ生産技術の開発に取り組んでいますが、良質なタンパク質源飼料を自給で確保していくことの重要性を再確認できました。また、排水処理では当機構の成果でもある伏流式人工湿地ろ過システムが導入されており、パーラー排水処理が行われていました。ここに導入されたものは小規模でしたが、簡単に設置でき安定的に排水処理できることに大変満足いただいていました。

本経営体では、担い手が減少する中、地域を守ることを念頭に、ロボット技術等を活用しながら酪農業が展開されていました。今回のツアーで得た貴重な情報を基に、東北研ではさらなるスマート農業技術の開発・普及に貢献していきたいと考えています。

写真1
牛舎での意見交換
写真2
伏流式人工湿地ろ過システム

東北農研連携推進ツアー

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