研究活動報告詳細

国際コンソーシアムの一員としてトマト全ゲノム解読に貢献

情報公開日:2012年6月 6日 (水曜日)

研究の背景

トマトは世界的に生産量が多い野菜の1つであり、我が国においても米に次いで第2位の農業生産額を誇っています。このように重要なトマトの品種改良技術や栽培技術の飛躍的向上を目指すためには、生物としてのトマトの基本的な仕組みを深く理解することが必要です。このような目的のため、国際的な協力体制のもと、2003年(平成15年)からトマトの全ゲノム解読が開始されました。

成果の概要

農研機構 野菜茶業研究所は公益財団法人かずさDNA研究所と連携し、日本を含む14カ国が参加する国際トマトゲノム解読コンソーシアムの一員としてトマト第8染色体の高精度解読を行いました。野菜茶業研究所は、イネゲノム解読にも用いられた手法であるBAC-by-BAC法(10万塩基対ほどに断片化したゲノムDNAをそれぞれ個別に解読してつなぎ合わせる高精度な解析手法)を用い、日本が担当した第8染色体上の203個の断片のうち約18%にあたる37個の配列を高精度に明らかにしました。その成果は他の染色体の解読成果及び染色体を限定しない新しい手法による大規模解読の結果と併せてトマト全ゲノム配列としてとりまとめられ、2012年(平成24年)5月31日号のNature誌に掲載されました。

今後の展開

トマトの全ゲノム配列が解読されたことにより、トマトが持つ遺伝子の位置や構造をこれまでに比べて極めて迅速に明らかにすることができるようになりました。また、最近の塩基配列解読技術の高度化によって、トマトの様々な品種がそれぞれどのようなDNA配列の違いを持っているかを短期間に調べられるようになってきましたが、今回解読された全ゲノム配列は、品種ごとのDNA配列の違いを調べるための基準配列として利用することができます。その塩基配列の違いがトマトの収量性、耐病性、異常気象への適応性などの農業上の性質、さらに、味や栄養成分などの品質上の性質にどのように関わっているのかについてこれから研究を進めることによって、トマトの品種改良や栽培法の画期的な新技術へとつながる成果が数多く得られるものと期待されます。さらに、トマトと近縁のナス、ピーマンなどの野菜についても、トマトのゲノム情報を活用することによってその研究が大きく効率化されると期待されます。

トマトゲノム

国際トマトゲノム解読コンソーシアムにおける染色体ごとの高精度解読の分担
日本は第8染色体 (T_08) の解読を担当した。国際コンソーシアムには上記10カ国に加え、ミトコンドリアDNA解読、情報処理、実験材料の整備などを担当するアルゼンチン、ドイツ、ベルギー、イスラエルを加えた計14カ国が参加している。

法人番号 7050005005207