研究活動報告詳細

平成28年度中国四国地域マッチングフォーラムを開催しました

情報公開日:2016年11月18日 (金曜日)

開催日時

2016年11月10日(木曜日)13時15分~17時30分

開催場所

松江市総合文化センター プラバホール(松江市西津田6丁目5番44号)

参加者数

109名(国・県行政機関49名、普及指導5名、研究機関34名、大学等教育機関4名、生産者・農業団体6名、民間企業・団体9名、報道関係2名)

開催概要

今年度の中国四国地域マッチングフォーラムは「効果的な鳥獣被害対策の定着に向けて」をテーマとして、農研機構で鳥獣被害対策技術の開発研究に取り組む研究者をはじめ、地域の最前線で技術指導に取り組む各層の関係者から取組を紹介していただき、その後のパネルディスカッションでは「被害対策を被害対策で片付けようとする時代は終わった」をキーワードにして、参加者からの疑問にも答えながら、被害対策の基本の重要性や鳥獣被害に強い地域づくりについて議論が行われました。

講演は、まず農研機構西日本農業研究センターの上田上級研究員から「被害対策の考え方」として、基本的な考え方として第1に放棄果樹など野生鳥獣の餌となるものは集落に残さない環境管理を徹底し、その上で電気柵などの設置を適正に行い、最終的に集落に出没する加害個体を減らす対策をとることなどをバランスよく行う必要性が説かれました。

同じく江口鳥獣害対策技術グループ長から「田舎伝説を考える」として、被害対策でよく聞かれる甘い噂話的な誤解を田舎伝説として取り上げ、イノシシなどの行動解析に基づいた音や光、臭いなどに対する反応を解説し、それらの間違いから有効な対策がとられない問題が指摘されました。

島根県美郷町産業振興課の安田氏からは「被害対策技術の普及定着へ向けた現場の心得」として、同町の「青空サロン」において地道な対策を継続的に行うことで農作物の収穫を確実に得ている事例を踏まえて、活動に人を巻き込む仕組みづくりの重要性が述べられました。

日野郡鳥獣被害対策協議会実施隊チーフの木下氏からは「鳥取県における日野郡鳥獣被害対策実施隊の取り組み」として、元医療従事者の観点で鳥獣被害対策を慢性疾患の療養に置き換えた解説が印象的でした。かかりつけ医に相当する町担当者と患者である農家の間で情報の蓄積を行いつつ治療を継続的に行うことになぞらえています。

広島県農林水産局農業技術課鳥獣害対策担当の角川氏からは「広島県におけるモデル集落事業等での取り組み」として、三次市三和町の集落営農法人での大豆栽培展示圃などでの効果的な管理手法を地域で継続的に実践する取組や、三原市島しょ部での放任果樹園伐採の取組など、県の事業をきっかけに成功体験を繰り返すことで対策技術に自信を持ち、自ら考え工夫することで技術が定着している事例が紹介されました。

島根県中山間地域研究センター農林技術部鳥獣対策科の澤田主任研究員からは、「島根県における鳥獣対策専門員の取り組み」として、5名の専門員が非常勤嘱託職員として継続的な取組が可能なように各農林振興センターに配置され、保護管理と被害対策を一体化して対応する現状の説明がなされました。被害発生があればすぐに現場に駆けつける他、研修会や巡回、現地指導などを地域で取り組む動機づけ活動を精力的に行い、市町村担当者を巻き込みながら地域の信頼を得ていることが印象的でした。

パネルディスカッションでは、講演者に特定非営利法人 里地里山問題研究所(さともん)代表理事の鈴木氏、山口大学大学院創成科学研究科生物資源環境科学分野の細井准教授を加えて議論が行われました。野生鳥獣の餌場をつくらない、防護柵で守る取組を行った上で、農作物への加害獣を確実に捕獲するという基本的な考え方が再確認されました。また、センサーカメラなどICTを活用しつつも人が関与することが最も重要との認識が示されました。

終了後に個別相談として、講師を囲んで各所で意見交換がなされました。今後、鳥獣被害対策の定着につながる新たな関係が構築されるきっかけになることが期待されます。

 

講演パネル個別相談

法人番号 7050005005207