研究活動報告詳細

平成29年度日本雑草学会賞業績賞を受賞しました

情報公開日:2017年5月16日 (火曜日)

受賞年月日

2017年(平成29年)4月15日

業績

寒冷地における水稲品種とタイヌビエとの競合関係の定量的評価に関する研究

受賞者

橘 雅明(水田作研究領域栽培管理グループ)

研究の概要

近年、水稲作では、省力・低コスト生産や環境への負荷を軽減する観点から、除草剤の使用量を減らすことが求められています。そこで、水稲が雑草と競争する力を最大限に利用して、除草剤の使用量を減らせないかと考え、寒冷地の日本海側で発生の多い強害雑草タイヌビエを対象に研究を行いました。

その結果、背の高い草姿や株が横に広がる草姿の水稲品種を栽培すると、移植後40~50日からタイヌビエの茎数の増加が抑えられ、最終的に田んぼに残るタイヌビエの量が少なくなることがわかりました。そのような競合力の強い品種を用いると、タイヌビエを除草しなければならない期間が一般の食用イネ品種に比べて、最大で1週間短くなりました。

さらに、移植後40日頃の「水稲株を真上から見た時の楕円面積」と「水稲の草高」の積がタイヌビエに対する水稲品種の競合力を簡易に評価するための良い指標であることが明らかになりました。

稲発酵粗飼料は、イネの実と茎葉を同時に収穫し発酵させた牛の飼料です。この用途のイネの栽培では、食用イネ栽培と異なり、収穫物に混ざったタイヌビエも家畜の飼料になるため、どの程度タイヌビエが収穫物に混入しても大丈夫か不明確です。そこで、飼料としての栄養分が大きく減少しない条件、発酵品質が低下しない収穫物の水分条件、田んぼのタイヌビエの種子数が増加しない条件、の3つを全て満たすタイヌビエの量を調べました。その結果、タイヌビエが田んぼに残っても許される量は、9月中旬の収穫では乾燥した重量で11g/m2であることがわかりました。

次に、それらの量以下にタイヌビエの生育を抑制する栽培法について数理モデルを用いて調べました。その結果、寒冷地において代かきした田んぼに直接イネの籾を播く栽培法では、通常の播種量で条播するよりも、通常の2倍量の籾を散播することでタイヌビエを除草しなければならない期間が約10日間短くなることが明らかになりました。

以上のように、寒冷地において除草剤の使用量を減らすうえで有用な基礎的知見が得られました。

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法人番号 7050005005207