フルチアセットメチル乳剤の効果の雑草種間差

要約

大豆作で使用できる全面茎葉処理除草剤のフルチアセットメチル乳剤は難防除雑草のヒロハフウリンホオズキ、ホソアオゲイトウ、アレチウリ、ニシキアオイ、カロライナツユクサ、マルバツユクサ、マルバルコウに対する防除効果が高い。

  • キーワード:大豆、難防除雑草、全面茎葉処理
  • 担当:中央農業研究センター・生産体系研究領域・雑草制御グループ
  • 代表連絡先:電話029-838-8514
  • 分類:普及成果情報

背景・ねらい

大豆作において、現在の防除体系で防除困難な広葉雑草が残草し、大きな雑草害をもたらしている。今まで大豆生育期に非イネ科雑草を対象として全面茎葉処理できる除草剤はベンタゾン液剤(商品名:大豆バサグラン液剤)のみであった。2018年2月にフルチアセットメチル乳剤が全面茎葉処理剤として登録されたが、雑草種や生育段階によって効果が異なることが認められている。そこで、フルチアセットメチル乳剤の実用化に向け、効果的に使用するため、効果の雑草種間差の情報を提供する。

成果の内容・特徴

  • フルチアセットメチル乳剤を葉齢2~3の雑草(大豆とほぼ同時に出芽した雑草では播種約15日後、大豆2葉期に相当)に処理することで、ベンタゾン液剤の効果が低いことが明らかになっているヒロハフウリンホオズキ、ホソアオゲイトウは枯死に至り、ニシキアオイ、カロライナツユクサ、マルバツユクサも枯死に至る(表1)。
  • 同じ処理時期の特定外来生物のアレチウリに対する効果が高く、枯死に至らない場合も生育が強く抑制される(表1)。
  • 同じ処理時期のアサガオ類の中ではマルバルコウに対する効果が高く、枯死に至らない場合も生育が強く抑制されるが、マルバルコウ以外のアサガオ類に対する効果は低い(表1)。
  • 処理時期が1週間程度遅れると(大豆とほぼ同時に出芽した雑草の場合は出芽約20~24日後、大豆3~4葉期に相当)、多くの雑草の葉齢が2から3程度進み、効果が高かった雑草種であっても効果が低下する(表1)。

普及のための参考情報

    • 普及対象:大豆生産者、農業生産技術普及指導機関
    • 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:北海道を除く全地域
    • その他:
    • 1)本情報はフルチアセットメチル乳剤(2018年2月農薬登録)を使用する大豆圃場を選定するために使用する。

      2)効果の変動に関しては、種内変異の観点からも情報の集積・共有を進める必要がある。

      3)難防除雑草は出芽期間が長いので、フルチアセットメチル乳剤だけでなく、他の除草剤や機械除草との体系で防除する必要がある。

具体的データ

その他