放牧適性や飼料品質に優れる北海道向けフェストロリウム品種「北海1号」

要約

フェストロリウム「北海1号」は多回刈で多収、季節生産性が平準であるなど放牧に適し、飼料品質も優れる。根釧地域の一部のような越冬条件の厳しい地域を除く北海道全域に適する。

  • キーワード:フェストロリウム、越冬性、放牧適性、飼料品質
  • 担当:北海道農業研究センター・作物開発研究領域・飼料作物育種グループ
  • 代表連絡先:電話 0287-37-7555
  • 分類:研究成果情報

背景・ねらい

北海道においてペレニアルライグラスは飼料品質や放牧適性に優れる草種として利用されており、最近では優れた初期生育性から追播による簡易更新における需要も拡大している。しかしながら越冬性が劣るため北海道東部(道東)における利用は推奨されていない。一方道東における放牧専用種としてメドウフェスクが利用されているが春季の出穂程度が高いなどペレニアルライグラスより放牧適性などが劣る。そこでペレニアルライグラスとメドウフェスクの属間雑種であるフェストロリウムを土壌凍結地帯で選抜することにより、道東地域まで適応可能な越冬性と優れた放牧適性や飼料品質を兼ね備えた品種を育成し、北海道における放牧酪農の普及推進および自給飼料の高品質化を図る。

成果の内容・特徴

  • 越冬性は全道7場所のうち5場所ではメドウフェスク「ハルサカエ」と同程度かそれ以上だが、根釧地域の2場所(根釧農試、雪印別海)で「ハルサカエ」より劣る(図1)。越冬性の要因である雪腐大粒菌核病罹病程度は「ハルサカエ」よりやや高く、雪腐黒色小粒菌核病抵抗性は同程度である(表1)。耐凍性は「ハルサカエ」より劣る(表1)。上記のすべての形質についてペレニアルライグラス「ポコロ」より優れる(表1、図1)。
  • 放牧利用を想定した多回刈における3か年合計乾物収量の全道7場所平均は「ハルサカエ」「ポコロ」より多収であり、場所別では根釧農試で「ハルサカエ」より低収であることを除き両品種より多収である(図2)。季節別では「ハルサカエ」と比較し季節間の変動が小さく、季節生産性が平準化しており(図3)放牧に適する。
  • 多回刈における春季の出穂程度は「ハルサカエ」より低く、また出穂期の葉身割合が「ハルサカエ」より高いことから放牧に適する(表1)。
  • 多回刈における推定TDN含量は「ハルサカエ」「ポコロ」と同程度である。総繊維に占める高消化性繊維割合は「ハルサカエ」より高く飼料品質に優れる(表1)。
  • 定着時草勢は「ハルサカエ」より優れる(表1)。初期生育が優れるため、播種年の乾物収量が「ハルサカエ」よりも大幅に多収である(図2)。
  • 採草利用における乾物収量は根釧農試では「ハルサカエ」より低収であるが北農研および天北支場では同程度である(表1)。採草・放牧兼用利用では北農研において「ハルサカエ」より多収である(表1)。いずれの利用条件においても「ポコロ」より多収である(表1)。

成果の活用面・留意点

  • 放牧利用を主体として、採草および採草・放牧兼用にも利用できる。
  • 栽培適地は北海道全域。ただし根釧地域の一部のような著しい凍害や冠氷害(アイスシート害)が懸念される地域あるいは圃場での利用は避ける。
  • 種子の市販開始は平成34年を予定している。

具体的データ

表1 フェストロリウム「北海1号」の特性(括弧内は「ハルサカエ」比、%);図1 多回刈試験における越冬性;図2 「北海1号」の多回刈試験における場所・年次別乾物収量;図3 多回刈試験における季節別乾物収量

その他

  • 予算区分:交付金、競争的資金(農食事業)
  • 研究期間:2006~2016年度
  • 研究担当者:田瀬和浩、田村健一、眞田康治、小松敏憲、秋山征夫、谷津英樹(雪印種苗(株))、横山寛(雪印種苗(株))、高山光男(雪印種苗(株))、林拓(現道総研上川農試天北支場)、牧野司(道総研根釧農試)、出口健三郎(現道総研畜試)、佐藤尚親(現雪印種苗(株))
  • 発表論文等:2017年度に品種登録出願予定
法人番号 7050005005207