収量性と容積重に優れるソバ新品種「キタミツキ」

要約

ソバ品種「キタミツキ」は、北海道の普及品種「キタワセソバ」と比較して多収であり、容積重は重い。ルチン含量は高く、製麺性にやや優れる。「キタワセソバ」の後継品種として、広く普及が見込める。

  • キーワード:ソバ、キタミツキ、多収、容積重、ルチン
  • 担当:北海道農業研究センター・畑作物開発利用研究領域・資源作物グループ
  • 代表連絡先:電話029-838-8393
  • 分類:普及成果情報

背景・ねらい

北海道はソバ(Fagopyrum esculentum)の主産地であり、全国の作付面積の38%、生産量の39%(2018年度)を占める。北海道では1990年に育成された「キタワセソバ」が主力品種であるが、種子更新率が低く、長年の作付けにより品種特性を維持することが困難となっている。また、実需者や生産者からは安定生産や収益性の向上が求められている。そこで、高収量・高品質のソバ品種を育成し、北海道および国内のソバ振興に貢献する。

成果の内容・特徴

  • 「キタミツキ」の開花期、成熟期、草丈、第一次分枝数は「キタワセソバ」とほぼ同じである(表1、表2)。
  • 「キタミツキ」の子実重は、「キタワセソバ」よりも多い(表1、表2)。
  • 「キタミツキ」の容積重は、「キタワセソバ」よりも重い(表1、表2)。
  • 「キタミツキ」のルチン含量は、「キタワセソバ」よりも高い(表1、表2)。
  • 「キタミツキ」の製麺・食味評価は、香り、味、食感は「キタワセソバ」と概ね同等であり、製麺性、色がやや優れる(図1、図2)。
  • 以上より、「キタミツキ」は「キタワセソバ」の後継品種として広く普及が見込まれ、国産ソバの振興に貢献することが期待できる。

普及のための参考情報

  • 普及対象:そば生産者、加工業者
  • 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:北海道そば生産地帯で、「キタワセソバ」の置き換えとして普及予定(500ha)。
  • 播種が6月下旬以降になると「キタワセソバ」同様に倒伏しやすい。
  • 他品種と交雑するので、採種圃場は集団ごと隔離栽培する。

具体的データ

表1 育成地における「キタミツキ」の栽培特性、生産性および子実特性,表2 現地試験における「キタミツキ」の栽培特性、生産性および子実特性,図1 実需者による「キタミツキ」の製麺・食味評価,図2 「キタミツキ」の麺

その他

  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:2004~2018年度
  • 研究担当者:森下敏和、六笠裕治、鈴木達郎、本田裕、石黒浩二、大塚しおり、原尚資
  • 発表論文等:森下ら「キタミツキ」品種登録第27402号(2019年4月23日)