検疫有害植物Candidatus Liberibacter solanacearumを検出できる新規プライマーセット

要約

新規に開発したPCRプライマーにより検疫有害植物Candidatus Liberibacter solanacearum(Lso)を特異的かつ高感度に検出できる。本プライマーは、コンベンショナルPCRおよびリアルタイムPCRのいずれにも利用できる。

  • キーワード:Candidatus Liberibacter solanacearum、遺伝子診断、PCR法
  • 担当:九州沖縄農業研究センター・生産環境研究領域・病害グループ、果樹茶業研究部門・生産・流通研究領域・病害ユニット
  • 代表連絡先:q_info@ml.affrc.go.jp、Tel:096-242-7682
  • 分類:研究成果情報

背景・ねらい

Candidatus Liberibacter solanacearum(Lso)は、ナス科およびセリ科植物に感染する難防除病原細菌である。本菌は国内未発生のキジラミ類によって媒介されるが、近年、ニンジンにおいて種子伝染が疑われており、ニンジン種子のグローバルな流通の下、わが国はじめ世界各国で侵入が警戒されている検疫有害植物である。
現在、国内外の種苗検査機関や植物検疫機関において、Lso汚染種子の検査はPCR法(コンベンショナルPCRおよびリアルタイムPCR)により実施されている。しかし、既存のLso検出用PCRプライマーは近縁種Candidatus Liberibacter asiaticus(Las)の検出用プライマーを基に作製されていることもあり特異性が低い。また、コンベンショナルPCRとリアルタイムPCRとで用いるプライマーがそれぞれ異なっているために、それぞれの検出結果について偽陽性・偽陰性の確認や、検出結果の再現性検証が求められている。そこで検出の再現性検証がし易いように、コンベンショナルPCRおよびリアルタイムPCRいずれの検出法でも利用可能で、特異性が高い新規プライマーを新たに開発する。

成果の内容・特徴

  • 新規プライマーセット(Lso-931F/LsoLSS)は、Lsoの16S rDNA配列と様々な細菌の16S rDNA配列(Lso以外のCandidatus Liberibacter属細菌の16S rRNA遺伝子配列も含む)との比較から見出されたLso特異塩基を有する領域を基に設計されたものである(表1)。
  • 本プライマーセットを利用して、Lso DNAを鋳型にPCRを行うと、近縁種であるLas、 Ca. L. americanus (Lam)、およびCa. L. europaeus(Leu)の3種と識別が可能であり、Lsoを特異的に検出することができる(図1)。
  • 本プライマーセットを用いて上記のLso DNAの希釈系列を鋳型にリアルタイムPCRを行うと、植物由来DNAの非特異的増幅はなく、極少量のLso DNAを特異的に検出することができる(図2)。
  • 本プライマーセットは、Lsoを特異的に識別でき、コンベンショナルPCRおよびリアルタイムPCRいずれでも利用可能である。

成果の活用面・留意点

  • Lso感染が疑われる輸入種子や苗等において本プライマーセットを用いた検査を行うことで、国内未発生の本病原菌の侵入リスク低減に貢献できる。
  • 本プライマーセットを用いた検査を行うことで、再現可能な結果を国際的に共有することができる。
  • 本プライマーセットは、Taqman probe法によるリアルタイムPCRでも利用可能である。

具体的データ

表1 Lso検出用プライマーセットのリスト;図1 新規プライマーセットによるLso特異的検出;図2 新規プライマーセットによるLsoの検出感度(リアルタイムPCR)

その他

  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:2015~2016年度
  • 研究担当者:藤原和樹、藤川貴史
  • 発表論文等:
    1) Fujiwara K. and Fujikawa T. (2016) J. Plant Pathol. 98(3): 63-68
    2)藤川貴史「核酸、プライマーセットおよびこれを用いたカンジダタス
    ・リベリバクター・ソラナセアルムの検出方法」特願2015-159251(2015年8月11日)
法人番号 7050005005207