デジタル土壌図のウェブ配信-「日本土壌インベントリー」と「e-土壌図II」の公開-

要約

土壌の種類や分布をウェブ上で調べられるデジタル土壌図とフィールドで使えるスマホ・アプリを提供する。生産現場で土壌の種類に応じた施肥設計や圃場管理、さらには土地利用計画の立案や農業ICTで利用される。

  • キーワード:デジタル土壌図、オープンデータ、スマホ・アプリ、土壌情報、農業ICT
  • 担当:農業環境変動研究センター・環境情報基盤研究領域・土壌資源評価ユニット
  • 代表連絡先:niaes_manual@ml.affrc.go.jp
  • 分類:普及成果情報

背景・ねらい

作物生産や炭素貯留等の土壌が有する機能を最大限に発揮して、環境と調和した持続性の高い農業や土地の有効利用を実現するためには、土壌の種類やその性質に応じた管理が重要であり、土壌の種類やその分布状況を調べるための土壌図の利活用が求められる。これまで農研機構では、農業のICT化に対応するため農耕地を対象としたデジタル土壌図をウェブ上で公開してきたa),b)。しかし、近年、土壌情報の利用者の多様化に伴い、農耕地以外の土壌情報についても利用ニーズが高まっている。例えば、環境開発等を目的とした自然環境の調査・予測および評価、農地と里山が混在するような生態系における物質循環や地球温暖化緩和機能の評価等が挙げられる。
このように多様化した土壌情報ニーズに対応するため、農耕地のみならず、その他の土地利用もカバーするデジタル土壌図をオープンデータ化し、様々な地理情報システム(GIS)で利用可能な形式で、かつ、2次利用が可能な利用ルールにより配信する。

成果の内容・特徴

  • 「日本土壌インベントリー」(https://soil-inventory.rad.naro.go.jp)はインターネットを利用して土壌図や関連する情報を閲覧することができるWebサービスであり、「e-土壌図II」(https://soil-inventory.rad.naro.go.jp/eSoilMap.html)は、スマートフォンを用いて土壌図を閲覧することができるアンドロイドおよびiOS用のアプリである(図1)。
  • 閲覧できる土壌図は2011年に農研機構(旧農業環境技術研究所)が作成した包括的土壌分類第1次試案c)に基づいて作図された縮尺20万分の1相当の全国の土壌図と大きく拡大した時に表示される縮尺5万分の1相当の農耕地土壌図である(図2)。
  • 「日本土壌インベントリー」の土壌図閲覧ページでは、表示された土壌図上の任意の地点をクリックすると、その地点に分布する土壌種名が表示され、さらに、土壌種名をクリックすると、その特徴や分布範囲などを解説したページが表示される。また、土壌温度図閲覧ページでは土壌の表層下30~50cmの土壌温度の年平均値を閲覧できる。
  • 表示される土壌図のデータはGIS用のファイルフォーマットであるShapeファイル形式のオープンデータとして入手でき、農業ICT等の基盤情報として利用できる。
  • 「e-土壌図II」では、スマートフォンやタブレットに搭載されたGPS機能を用いることにより、利用者が現在位置の土壌の種類を即座に調べることができる。

普及のための参考情報

具体的データ

図1 「日本土壌インベントリー」トップ画面(左)と「e-土壌図II」(右);図2 日本土壌インベントリーで配信している2種類の土壌図;左図は縮尺20万分の1相当の土壌図、右図は縮尺5万分の1相当の農耕地土壌図


その他