霞ヶ浦の水質保全対策に資する霞ヶ浦流域のハス田のGISデータ

要約

霞ヶ浦の水質保全対策に資するために整備し、ネットに公開した霞ヶ浦流域のハス田のGISデータ(KMZファイル形式)である。ハス田は、RapidEye衛星データを用いた衛星画像解析とGoogle Earth画像を用いた航空写真判読を組み合わせて圃場単位で抽出している。

  • キーワード:レンコン、RapidEye、Google Earth、画像解析、写真判読、リモートセンシング
  • 担当:農村工学研究部門・農地基盤工学研究領域・農地利用ユニット
  • 代表連絡先:電話 029-838-7547
  • 分類:研究成果情報

背景・ねらい

茨城県は全国一のレンコンの産地であり、霞ヶ浦周辺にハス田が多く見られる。そのハス田からの肥料成分の流出が、生活排水や畜産排水とともに、霞ヶ浦における水質汚濁の要因の一つになっている。しかし、ハス田の分布は詳細に把握されていない。そのため、霞ヶ浦に流入する汚濁負荷量の評価や、負荷削減対策の一つである循環かんがい施設整備の計画策定等において、ハス田の詳細な分布情報が強く求められている。
そこで、水利システムの再編整備を支援する情報整備技術の開発の一環として、霞ヶ浦の水質保全対策に資するため、RapidEye衛星データを用いた衛星画像解析とGoogle Earth(Google 社)の画像を用いた航空写真判読を組み合わせてハス田を圃場単位で抽出する手法を考案し、リモートセンシングにより霞ヶ浦流域のハス田のGISデータを整備する。

成果の内容・特徴

  • 2006年の作物統計調査によると、茨城県では14市町村でレンコンの作付けが行われている(2006年まではレンコンの作付面積が市町村単位で公表)。対象地域は、そのうちの作付面積2ha以上の11市町村(図1)である。なお、レンコンは、露地栽培の場合、4月~5月に植え付けられ(代かき後)、8月~翌年3月に収穫されている。
  • まず、2014年8月2日のRapidEye衛星データ(解像度6.5m)と圃場区画データ(水土里情報)を用い、ハス田である可能性のある圃場(以下、ハス可能性圃場)を画像解析により抽出する(図2)。具体的には、教師なし分類法で衛星画像の各画素を40のクラスに分類した後、ハス田に対応するクラスを選択・統合して分類画像を作成し、それに圃場区画データを重ねてハス田の画素が過半数を占める区画をハス可能性圃場として抽出する。
  • 次に、ハス可能性圃場のGISデータをGoogle Earthに表示し、2014年3月22日の航空写真画像を目視判読してハス田を抽出する(図2)。具体的には、ハス田では湛水が一年中行われている点(3月には水稲作田は湛水されていないので区別可能)、露地栽培とハウス栽培の2種類のハス田がある点(ハウス栽培のハス田は衛星データから抽出不可能)等を踏まえて、湛水状態と判断できたハス可能性圃場、および、ハス可能性圃場の周辺圃場のうち鉄骨ハウスと判断できた圃場等をハス田と判定し、ハス田のGISデータを作成する。
  • 最後に、それに区画面積と田面標高を属性として付与する。ここで、田面標高は、国土地理院の航空レーザ測量に基づく5mメッシュ標高データ(基盤地図情報)を用いて求める。
  • ハス田のGISデータによるハス田の総面積(1,613ha)は、2014年の作物統計調査による茨城県のレンコンの作付面積(1,610ha)とほとんど同じである。ハス田はすべて霞ヶ浦流域に位置し(図3)、かつ、44%(面積ベース)は標高1m未満の土地に位置している。
  • ハス田のGISデータ(KMZファイル形式)を農研機構のウェブサイトにアップロードしている。ファイルをダウンロードしてGoogle Earthで開けば、ハス田を容易に可視化することができる(図4)。

成果の活用面・留意点

  • 本データは、霞ヶ浦流域における汚濁負荷量の評価や循環かんがい施設整備の計画策定等において活用することができる。

具体的データ

図1 対象地域(11市町村)の衛星画像と現地写真;図2 ハス田の抽出方法;図3 ハス田のGISデータ(青色);図4 ハス田のGISデータ(黄色の枠)

その他

  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:2016年度
  • 研究担当者:福本昌人
  • 発表論文等:福本(2016)農業農村工学会誌、84(9):765-768
法人番号 7050005005207