小型UAV空撮・三次元形状復元技術を用いた農地の現況地形の把握手法

要約

小型UAVによる空撮画像を用いて三次元形状復元技術(SfM-MVS)により農地の三次元モデルを生成すれば、三次元モデルから得られる数値表面モデル(DSM)を用いたGISによる地形解析により畦畔法面の勾配など、農地の現況地形を高精度に把握できる。

  • キーワード:ドローン、空撮画像、SfM-MVS、数値表面モデル、GIS、地形解析
  • 担当:農村工学研究部門・農地基盤工学研究領域・農地利用ユニット
  • 代表連絡先:電話 029-838-7547
  • 分類:研究成果情報

背景・ねらい

地形などの農地の立地条件が多様な地域において、基盤整備などを通じて耕作・管理の省力・効率化を図っていくためには、現況の農地の特徴を精緻に把握し、今後の管理や整備に生かしていく必要がある。近年、土工量が少なく低コストで、かつ畦畔法面が小さい等高線区画方式による棚田の基盤整備や、畦畔法面を走行できる小型除草ロボットの開発などが進められており、農地の現況地形を詳細に把握することへのニーズは高まっている。地形等の把握には、近年、普及が進んでいる小型UAVによる空撮が有効だが、畦畔法面などの農地周辺の詳細な現況地形の把握への適応可能性の検討はなされていない。そこで、小型UAVを活用して農地の現況地形を高精度に把握する手法を開発する。

成果の内容・特徴

  • まず、インターバル撮影機能を有する小型デジタルカメラを小型UAV(ドローン)に搭載し、対象農地の空中撮影(直下視、1秒間隔)を行う。撮影にあたっては、撮影画像間の十分なオーバーラップを確保する飛行ルートを設定する。
  • 次に、得られた多数の空撮画像を用いて三次元形状復元技術(SfM-MVS)により農地の三次元モデルを生成する(Agisoft社のPhotoScan Professional Editionを使用;図1)。三次元形状復元技術とは、複数の画像からカメラの撮影位置を推定し、撮影画像中の特徴点の三次元分布を推定するSfM(Structure from Motion)技術と、SfMで推定したモデルから高密度の三次元点群を構成するMVS(Multi-View Stereo)技術を組み合わせて、被写体の三次元形状を復元する技術である。
  • 最後に、三次元モデルから得られた数値表面モデル(DSM:Digital Surface Model)を用いて、GIS(ESRI社のArcGIS 3D Analystを使用)により空撮画像の3D表示や地形解析による勾配分布図の作成を行う(図2、図3)。その勾配分布図を用いると、畦畔法面の平均勾配の他、岩石の露出や石積みに起因した畦畔法面の局所的な急勾配部分が把握できる(図2)。
  • UAV空撮画像から生成した三次元モデルより得られたDSMを用いて算出した10地点(A~J)の畦畔法面の平均勾配と、現地において実測した平均勾配を比較すると、航空写真を用いた場合より対応は良く、算出値と実測値の差は、撮影時に草刈りが未実施であった3地点(C、F、I)を除けば5°未満(誤差率10%未満)である(図4)。

成果の活用面・留意点

  • 三次元点群データや三次元モデルにより示される農地の現況地形は、地区において新たな基盤整備を検討する際にも有効である。
  • 本手法により得られる詳細な畦畔法面の勾配分布は、小型除草ロボットが安全に走行可能な畦畔法面の迅速な把握に活用が可能である。
  • 三次元形状復元技術で得られる数値表面モデルは、密に植生が存在するエリアでは植生上端の標高を示すメッシュデータであるので、空撮は、草刈り後や冬期など畦畔法面に雑草が繁茂していない時期に行う必要がある。

具体的データ

図1 小型UAV空撮から三次元モデル生成までの流れ;図2 除草ロボット実証予定地区における空撮画像(3D表示)と勾配分布;図3 勾配分布図(全体);図4 UAV空撮及び航空写真による畦畔法面勾配の算出値と実測値の比較

その他

  • 予算区分:交付金、その他外部資金(26補正「ロボット事業」)
  • 研究期間:2015~2016年度
  • 研究担当者:栗田英治、福本昌人
  • 発表論文等:栗田ら(2016)農業農村工学会誌、84(9):753-756
法人番号 7050005005207