透湿防水シートはウシの嗜好性を落とさず乾燥圧砕稲わらの屋外保管を可能にする

要約

圧砕稲わらの給与はウシのルーメン内pH変動に影響を及ぼさない。また、透湿防水機能を持つシートで乾燥稲わらを被覆保管することにより保管中の温度上昇が抑制され、保管後の圧砕稲わらは嗜好性が高い。

  • キーワード:圧砕稲わら、透湿防水シート、ウシ、嗜好性
  • 担当:東北農業研究センター・畜産飼料作研究領域・飼養管理グループ
  • 代表連絡先:電話 019-643-3556
  • 分類:研究成果情報

背景・ねらい

寒冷積雪地域では稲収穫時の天候不順のため飼料用の乾燥稲わらを調製することが難しい。そのため、東北農業研究センターでは汎用コンバインを用いた乾燥圧砕稲わら調製体系を確立している(大谷ら 2010年東北農研普及成果情報)。一方、技術の普及のためにはウシに対する給与の妥当性を示す必要がある。また、市販の透湿防水シートを用いて被覆することで屋外保管し、保管中も稲わらを乾燥させることで「圧砕稲わら調製技術」だけでは乾燥に不充分な天候不順地域でも稲わら調製が可能であることを示すことがねらいである。

成果の内容・特徴

  • 汎用コンバインの稲わら排出部を改造し、クローラーに踏まれない刈り株上に排出された稲わらは圧砕されており乾燥速度が速い(大谷ら 2010年 普及成果情報)。その乾燥した圧砕稲わらをウシへ給与したときのルーメン内pHの変動は慣行の稲わら給与時と同等である(図1)。
  • 乾燥圧砕稲わらを黒毛和種去勢牛に給与した場合、採食時間の減少傾向は見られるものの、反芻時間は変わらない(表1)。1.の結果とあわせてウシへの圧砕稲わら給与は反芻胃の機能維持に影響を与えないことを示している。
  • 透湿防水機能を持つシートを用いて稲わらロールを被覆することにより屋外にて保管できる。同様に市販のブルーシートを用いることにより屋外保管は可能であるが、透湿防水シートを用いることにより稲わらロール内の温度上昇を抑制できる(図2)。
  • 透湿防水シートにより被覆保管された圧砕稲わらはブルーシートと比較してウシの嗜好性が高い。保管中の稲わらロール内温度上昇による変敗(ヒートダメージ等)を当該シートが防ぐことによると考えられる(図3)。

成果の活用面・留意点

  • 圧砕稲わら調製技術と透湿防水シートによる保管技術を用いることにより、刈り取り期の天候不順地域においても乾燥稲わらを調製することが可能である。
  • 透湿防水シートは被覆時の稲わら水分濃度が30%程度であれば保管中に変敗せずに乾燥が可能である(美保 2014. 稲わら・牧草乾燥シート「乾っとシート」の開発について. 肉牛ジャーナル. 9月号:56-58.)。
  • 本試験に用いた透湿防水シートは現在販売されていないが、防水性と透湿性を持つ素材であれば同様の結果が見込まれる。

具体的データ

図1 稲わら給与時のルーメン内pHの変化(平均値±標準偏差);表1 稲わら給与時の採食および反芻時間(分/日±標準偏差);図2. 透湿防水シートおよびブルーシートによる被覆保管時の稲わらロール内温度変化;図3. 異なる粗飼料給与時のウシの嗜好性

その他

  • 予算区分:その他外部資金(25補正「革新プロ」)
  • 研究期間:2014~2015年度
  • 研究担当者:小松篤司、深澤充、東山由美、関矢博幸、杉浦玲(三菱樹脂化学)、大谷隆二、押部明徳
  • 発表論文等:小松ら(2016)東北農業研究センター研究報告、118:79-85
法人番号 7050005005207