長ねぎ調製装置

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要約

長ねぎの根部切断、皮むき、葉切り作業を、1名の作業者で行える長ねぎ調製装置である。熟練を要すること無く楽な作業が可能であり、皮むき部を自動化することで作業時の騒音が低減されている。開発した装置には、自動型と半自動型がある。

  • キーワード:長ねぎ、調製作業、高精度根部切断、皮むき、圧縮空気、騒音低減
  • 担当:生研機構・園芸工学研究部・園芸調製貯蔵工学研究
  • 連絡先:048-654-7089
  • 区分:共通基盤・作業技術、野菜茶業・野菜栽培生理
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

長ねぎ生産には、10aあたり約460時間もの労力を要し、中でも収穫・調製作業はその約3分の1を占めている。特に、根部切断・皮むき・葉切りの調製作業は、繊細な作業が要求されるため多くの労力と熟練を要する。さらに、皮むき作業については、圧縮空気を利用した皮むき機械が多く普及しているが、作業時の騒音が大きいため、作業者への健康障害(難聴)や、周囲への騒音が問題となっている。そこで、長ねぎ調製作業の省力化・高能率化と騒音の少ない長ねぎ調製装置を開発する。

 

成果の内容・特徴

  • 収穫された長ねぎの根部切断と皮むき及び葉切りの3作業を、作業者1名で熟練を要することなく楽に行うことができる(図1)。
  • 開発した装置には、適正な根部切断位置と皮むき始め位置を設定する方法の違いにより、自動型と半自動型がある(表1,図2)。
    (1)自動型は、作業者が長ねぎをコンベヤ上に供給するのみで、センサが自動的に根部切断位置と皮のむき始め位置を判断するもので、1本処理のシングル式と2本処理のダブル式がある。
    (2)半自動型は、作業者が長ねぎを根部切断位置に合わせて供給するとともに、皮のむき始め位置を判断して適合する位置のタッチスイッチで入力する。
  • 自動型、半自動型何れのタイプも、皮むき作業をダクトに内蔵された空圧ノズルで自動的に行い、皮むき部に遮音カバーを設けることで、作業時の騒音が慣行(100dB)より15dB程度低減されている。
  • 作業能率は、自動型ダブル式で約800本/時(1名作業)~約1,100本/時(2名作業)、自動型シングル式で約500本/時(1名作業)、半自動型で約500本/時(1名作業)である。
  • 作業精度は、根部切断、皮むきともに熟練者並の高い精度である(表2)。

成果の活用面・留意点

  • 高性能農業機械実用化促進事業を経て、平成14年4月より市販化の予定である。
  • 適応する長ねぎは、軟白の長さが30cm以上で50cm以下、全長が65cm以上である。また、製品としての出荷長さは、55~65cmの範囲である。
  • 留意点として、自動皮むき部のダクト(間口が10cm)に入らないような、極端に曲がったねぎへの適応には難がある。

具体的データ

図1:長ねぎ調製装置による作業の概要

図1:長ねぎ調製装置による作業の概要

図2:自動型シングル式

図2:自動型シングル式

 

表1:主要諸元

表1:主要諸元

 

表2:作業性能試験結果

表2:作業性能試験結果

 

 

その他

  • 研究課題名:長ねぎ調製装置の開発
  • 予算区分:経常・21緊プロ
  • 研究期間:1998~2001年度
  • 研究担当者:大森定夫、藤岡 修、長木 司、(株)マツモト、(株)ちくし号農機製作所
  • 発表論文等:1)平成12年度生研機構研究報告会資料、p75、 2)第60回農機学会年次大会講演要旨、p131-132、 3)特許出願中(特願2001-42641、特願2001-151795、特願2001-322458他)