細断ロールベール対応型ベールラッパ

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要約

細断型ロールベーラによって細断・梱包された長大型作物等のロールベールを崩すことなく速やかに密封することのできるターンテーブル式ベールラッパである。トラクタ半直装式で22kW(30PS)程度のトラクタでの作業が可能である。

  • キーワード:ベールラッパ、ロールベール、細断、とうもろこし、ラップサイロ
  • 担当:生研機構・畜産工学研究部・飼料生産工学研究
  • 連絡先:048-654-7094
  • 区分:共通基盤・作業技術、共通基盤・畜産草地
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

青刈りトウモロコシをはじめとする長大型作物の収穫作業の省力・省人化並びに高品質貯蔵・調製をねらいに新たに開発した細断型ロールベーラで成形された直径90cmのロールベール(以下、細断ロールベール)は、ネットで結束されているものの材料の切断長が10mm前後と短いため、従来の自載式ベールラッパの積載方法では、ベール側面からの崩れが多くなる問題があった。そこで、従来のロールベールだけでなく、細断ロールベールをも崩すことなく速やかに密封することのできる自載式ベールラッパを開発した。

 

成果の内容・特徴

  • 本ラッパはターンテーブル式で、トラクタ三点リンクに装着する。作業のための動力は、PTO軸を介して、ラッパに組み込まれた油圧ユニットを駆動して供給し、細断ロールベールの両側面を把持するためのサイドアームおよび細断ロールベールの胴体部分を押えるアッパーアームを装備する。
  • 細断ロールベールを積載するには、サイドアームを左右に開き、アッパーアームを上方に持ち上げた状態でターンテーブルを90°後方へダンプし、トラクタを後進させて細断ロールベールに接近し(図1-a)、アッパーアームを下げ、サイドアームを閉じて細断ロールベールを把持し(図1-b)、ターンテーブルを持ち上げる(図1-c)。密封は、サイドアームを左右に開きアッパーアームを上方に持ち上げた状態で行う(図1-d)。密封完了後、アッパーアームだけでベールの胴を押えてターンテーブルをダンプし(図1-e)、アッパーアームを持ち上げて荷下ろしする(図1-f)。
  • 本ラッパは、崩れやすい細断ロールベールを0.3%程度のロスに抑えて速やかに密封することができる。積込みから密封後の荷下ろしまでの所要時間は2分30秒程度である。また、約400kgに達する細断ロールベールを扱う場合でも、22kW(30PS)程度のトラクタで十分対応できる。図2に作業風景を示す。

成果の活用面・留意点

  • 細断型ロールベーラとの組作業により、青刈りトウモロコシをはじめとする長大型作物等の収穫・調製作業が作業者2名で省力的に行うことが可能となる。
  • 22kW未満の小型トラクタで作業する場合は、トラクタ前部に重錘を付加して作業することが望ましい。
  • 細断型ロールベーラとともに市販化が予定されている。

具体的データ

図1:細断ロールベール対応型ベールラッパの動作手順

図1:細断ロールベール対応型ベールラッパの動作手順

 

図2:細断ロールベール対応型ベールラッパの作業風景(図1-b~cの状態)

図2:細断ロールベール対応型ベールラッパの作業風景(図1-b~cの状態)

その他

  • 研究課題名:微細断型ロールベーラによる長大型作物梱包技術の開発
  • 予算区分:経常・受託(畜産草地研:21世紀プロ)
  • 研究期間:1999~2001年度
  • 研究担当者:志藤博克、山名伸樹、澁谷幸憲
  • 発表論文等:1)山名・志藤(2002)農機誌64(1):136-138.、 2)志藤・山名(2002)日草誌47(6):610-614.、 3)志藤・山名(2001)日草誌47(別):376-377.