高速代かき機に新たな運土機能を付加した、代かき同時均平機

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要約

レーザ光を利用して排土板高さを制御し代かき均平を行うレーザ光利用方式の代かき均平機と、耕深制御しつつ、手動で運土量調節をすることができる手動操作方式の代かき均平機である。熟練を要せず代かきと同時に均平を行うことができる。

  • キーワード:代かき、均平、レーザ光
  • 担当:生研機構・生産システム研究部・土壌管理システム研究
  • 連絡先:電話048-654-7068
  • 区分:共通基盤試験研究・作業技術
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

現行の代かき作業で行われる土曳きは、ロータリを固定して行う作業のため代かきと同時にはできず、流動性の悪い土壌ではあらかじめ荒代を行うことが必要であり、また、過剰な運土によって新たな凹凸を生む可能性もあるため、作業に熟練を要する。そこで、代かきと同時に運土を行えること、熟練を要せず均平作業を可能にすることを目的にトラクタ直装式代かき均平機を開発する。

成果の内容・特徴

  • 高速代かき機のロータリ部後方に排土板を付加し、レーザ光を利用して排土板の高さ制御を行う方式の代かき均平機(図1)と、リヤカバーの形状を変更して排土板の機能を持たせ、ほ場の凹凸に合わせてリヤカバーを手動で上下させる方式の代かき均平機(図2)である。手動方式は、整地板をセンサとして耕深制御を行っている。
  • 開発した技術の特徴を以下に示す。
    1)開発機は、通常の代かき作業または土曳きの後に代かきを行う作業に比べ、均平作業後のほ場表面高さの標準
      偏差は2~5割少なく、高い均平性能を有している(表1)。
    2)運土作業回数を重ねるごとに、より高い均平精度を得ることができる(表1)。
    3)開発機は、代かき作業と同時に均平作業を行うことができるため、作業能率が高い。
    4)開発機は、過剰な土移動をすることがなく、熟練を要さずに操作が可能である。レーザ光利用方式では、ほ場の凹
      凸が目視で確認しづらい時でも均平作業が容易である。
    5)運土作業をする、しないの切り替えは、レーザ利用方式では制御を停止し排土板を上昇させることで、手動方式で
      はリヤカバーと油圧シリンダとの連結部をワンタッチで解除することで簡便に行うことができる。

成果の活用面・留意点

  • 高性能農業機械実用化事業に移行し、市販化が予定されている。
  • 作業精度を確保するためには、ほ場表面の凹凸確認が必要であるため、適切な水深で作業を行うことが望まれる。
  • 効率的な運土を行うため、作業前にほ場表面の凹凸を確認したのち作業経路を選択することが望まれる。

具体的データ

図1 開発機の概要(レーザ利用方式)

図2 開発機の概要(手動方式)

表1 ほ場試験の結果

その他

  • 研究課題名:高速代かき均平機の開発
  • 予算区分:経常・21緊プロ(共同)
  • 研究期間:1998~2002年度
  • 研究担当者:堀尾光広、西村洋、紺屋秀之、林 和信、市川友彦、(株)ササキコーポレーション、井関農機(株)
  • 発表論文等:特許出願中(特願2002-333104、特願2002-362407)