精密農業用作業ナビゲータ

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要約

作業ナビゲータは、各種の精密農業(PF)用装置や機器に接続して高精度なPFの実施を支援する装置であり、取得したGPS位置情報と別に入力されたPF情報を表示・記録する機能や、位置情報に基づき可変施肥などの作業を指示する機能を有する。

  • キーワード:精密農業、GPS、PF情報、PF作業、作業支援、汎用装置
  • 担当:生研センター・基礎技術研究部・メカトロニクス研究
  • 連絡先:048-654-7045、ymatsuo@affrc.go.jp
  • 区分:共通基盤・作業技術
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

精密農業(Precision Farming:PF)では、土壌や作物の生育等に関する情報は位置情報とともに取得・記録され、また可変施肥などの作業はPF作業マップと位置情報に基 づいて行われる場合が多く、位置情報はPFにおける共通的な基準・参照情報として用いられる。そこで、各種PF用装置・機器に共通的に接続・利用可能で、 GPS位置情報を取得するとともに、各種情報の表示・記録や作業の指示を行える汎用的な装置を開発する。

成果の内容・特徴

  • 作業ナビゲータは、位置情報を取得するGPSセンサ部と、各種情報の入出力を行うI/Oコントローラ、各種情報の処理・表示を行う表示コントローラ(図1)、及びソフトウェア(コントローラ用ソフトと事務所等で使用する情報管理ソフト)から構成される。
  • 作業ナビゲータは、別に開発された土壌サンプリング装置、可変施肥装置、及び穀物収穫情報測定装置(通称、収量コンバイン) に接続して、それらの装置による作業の実施を支援する。また、作業を行う前の各種設定や記録情報等の管理、保存などは、開発した情報管理ソフト(事務所等 の汎用PCで使用)により行われる。上記各装置と接続して使用する作業ナビゲータの機器構成や主な機能等を表に示す。
  • 土壌サンプリング装置との接続・利用では、表示に基づき、事前に設定した目標位置にサンプリング装置搭載車両を誘導してサンプル採取を行えば、圃場内の土壌状態分布やその履歴を把握するためのサンプル採取を高精度かつ容易に行うことができる。
  • 可変施肥装置との接続・利用では、別途作成した施肥マップを読込み参照すれば、位置情報に応じた自動可変施肥が行われる(作業時の表示:図2)。また、穀物収穫情報測定装置に接続して収穫作業を行えば、図3のような収量等に関するデータマップを作成、表示し、記録することができる。
  • 情報管理ソフトを用いれば、各種PF関連作業の初期設定等を容易に行うことが可能であり、また、図3の収量等に関するデータを読込んで、任意の点間隔(メッシュ)のマップに編集することも容易に行える。
  • 作業ナビゲータの機器構成は使用場面に応じて組替えが可能であり、また、上記2以外のPF用装置・機器でも、ソフト等の一部変更により接続・利用が可能である。

成果の活用面・留意点

  • 各種PF用装置・機器と接続して、PF情報の取得やPF作業が行える。
  • 作業ナビゲータの利用にあたっては、適用する作業や必要な位置精度に応じて、構成機器やソフトを選択する。

具体的データ

 

  • 表 各種PF用装置との接続や主な機能等

     

     

    図1 作業ナビゲータの全体構成

     

    図2 可変施肥での表示例

     

    図3 ナビゲータで取得した収量等のデータマップ

     

    その他

    • 研究課題名:農用車両用作業ナビゲーター
    • 課題ID:21-04-01-01-11-02
    • 予算区分:経常・21緊プロ(共同)
    • 研究期間:1998~2002年度
    • 研究担当者:松尾陽介、濱田安之、津賀幸之介、鷹尾宏之進、山本聡史、行本 修、野口 伸(北海道大学)、井関農機(株)、(株)ソキア、DXアンテナ(株)、日本航空電子工業(株)、日本電計(株)、日本無線(株)、ヤンマー農機(株)、北海道中央農試、山形農試
    • 発表論文等:松尾ら(2003)「農作業支援プログラム、農用車両用作業ナビゲーター及び農作業支援方法」(特願2003-405783)