鏡面反射を利用したトマト果実の3次元位置測定システム

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要約

果実にハロゲンランプを照射し、着色果実に生じた鏡面反射を検出することで3次元位置を測定する画像処理システムである。果実同士が密着している場合や着色の少ない場合でも、果実の3次元位置を測定できる。

  • キーワード:トマト、果実、3次元位置測定、画像処理、鏡面反射、収穫ロボット
  • 担当:生研センター・園芸工学研究部・施設園芸生産工学研究
  • 連絡先:電話048-654-7041、電子メールtoota@affrc.go.jp
  • 区分:共通基盤・作業技術
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

トマトの収穫は全て手作業で行われているため省力化機械の開発が求められている。これまで収穫ロボットの視覚部としてトマト果実の検出技術の開発が行われてきたが、自然光下で果実同士の重なりがある場合や着色の少ない場合には、果実の位置測定が困難であった。そこで、果房内で果実が隣接した状態においても3次元位置を測定できる画像処理システムを開発する。

成果の内容・特徴

  • 測定システムは2台のCCDカラーカメラ(カメラ間隔100mm)、ハロゲンランプ(消費電力75W)、パソコン、画像処理ボード、ソフトウェアから構成され、果房内の着色果実の3次元位置を測定できる(図1)。
  • カメラから入力した画像のうち、R-G(赤色輝度値と緑色輝度値の差)が高い部分を着色果実部分として検出する。着色果実部分の内、R、G、Bが高い部分を鏡面反射部分として検出する。重心位置と画素数を条件として着色果実部分を対応付ける。対応付けた着色果実部分に対し、重心位置を条件として鏡面反射部分の対応付けを行い、ステレオ法で鏡面反射部分の3次元位置計算を行う(図2)。3次元位置計算後、直近果実(カメラに最も近い着色果実)を自動で選び出す。
  • 着色度に応じてR-Gの設定を行うことができる(図3)。
  • 果実から400~800mmの距離で、誤差が水平方向-30~29mm、垂直方向-18~27mm、奥行き方向-11~20mmで3次元位置の測定が可能である(図4)。また、1回の測定時間は3秒程度である。
  • 着色度がII程度で、着色が少ない場合(550、670nmでの分光反射率がそれぞれ25、18%程度)でも検出が可能である。
  • 照度120~45700 Lxで茎葉に隠れていない場合、着果数が1個のとき、直近果実の検出率は100%である。1果房の着果数が2、3個の場合、着色果実数にかかわらず、検出率は80%以上である。着果数が4個で着色果実数が2~4個の場合、着果数が5個で着色果実数が3、4個の場合、検出率は90%以上である。着果数が4個で着色果実数が1個の場合、着果数が5個で着色果実数が1、2個の場合、検出率は60%である。

成果の活用面・留意点

  • 収穫ロボットの視覚部として利用が可能である。
  • 高照度(50000Lx以上)の直射日光時には遮光カーテンを用いる等の対策が必要である。

具体的データ

図1 トマト果実の3 次元位置測定システム 図2 果実の3 次元位置測定方法
図3 R-G の設定例

図4 位置測定精度

その他

  • 研究課題名:視覚センサ等による果菜類の作物情報検出技術の開発
  • 課題ID:21-02-02-02-01-04
  • 予算区分:経常・所内特研(大型)
  • 研究期間:2000~2004年度
  • 研究担当者:太田智彦、林茂彦、久保田興太郎、安食惠治、清水秀夫、中根幸一、米田隆志(芝浦工業大学)
  • 発表論文等:特開2003-000031