籾殻の燃焼ガスを触媒で浄化し直接乾燥に利用することのできる籾殻燃焼装置

要約

籾殻燃焼熱を穀物乾燥機に利用するための籾殻燃焼装置である。本燃焼装置は籾殻を旋回燃焼させる機構を有し、燃焼ガスを直接利用するため燃焼ガスを触媒で浄化することを特長としている。燃焼温度は約800°Cで、燃焼灰は結晶性シリカを含まず安全である。

  • キーワード:籾殻、低温燃焼、触媒、燃焼ガス浄化、燃焼灰、穀物乾燥
  • 担当:農業機械化促進・環境負荷低減技術
  • 代表連絡先:電話 048-654-7000
  • 研究所名:生物系特定産業技術研究支援センター・特別研究チーム(エネルギー)
  • 分類:研究成果情報

背景・ねらい

籾殻燃焼熱の穀物乾燥利用は1970年代のオイルショック時代に盛んに研究され、最近では2008年の石油高騰時に、民間企業による再開発が行われており、市販化されている。再開発された籾殻燃焼炉はほとんどが間接熱風方式で、籾殻燃焼熱を熱交換器に通して熱風供給する。そのため、燃焼炉と熱交換器が対になっており、装置が大型化すると同時に製造コストも高くなる。
そこで本研究では、コンパクトな籾殻燃焼炉を開発するために、触媒を利用して浄化した籾殻の燃焼ガスを直接利用することで、燃焼炉と同程度の容積が必要な熱交換器を省くことを可能とした装置を開発する。

成果の内容・特徴

  • 開発した籾殻燃焼装置は、旋回燃焼炉、燃焼ガス浄化部、灰分離部、籾殻供給部、制御部から構成される(図1)。旋回燃焼炉は、予熱バーナーで加熱した炉内に燃焼空気と籾殻を旋回させながら投入し、籾殻の自発火燃焼を促す機構である。また燃焼炉の材質は、低コスト化を図るため耐熱レンガの代わりに鉄製である。燃焼ガス浄化部は、灰分離部の周回に配置したサイクロン上部に設置し、パラジウム酸化触媒により燃焼ガスを浄化する。燃焼炉の放射熱を熱風に変換するために、燃焼炉周辺の空気を吸引するファンを設け、浄化した燃焼ガスとともに熱風を排出する。
  • 起動時は、予熱バーナー(灯油)で2分弱燃焼し、燃焼炉内を700°Cに加熱する。その後、予熱バーナー消火と同時に籾殻供給を開始し、籾殻と空気だけで約800°Cの温度で安定的に燃焼する。燃焼炉内の温度を800°Cに保つように、籾殻供給モータにより籾殻の供給量が制御される(図2)。なお、毎時籾殻供給量は平均16kg/h、熱出力は31kW程度である。
  • 燃焼ガスは、触媒の設置によりCO、SO2、H2が大幅に低減する。また、臭いの原因である有機酸の一種の酢酸についても触媒通過後に0ppmとなり、燃焼ガスが改質され(表1)、燃焼ガスの直接利用が可能となる。NOxについては、環境省の定める固形燃料燃焼炉の排出基準である250ppm以下であるため問題ない。
  • 燃焼灰の主な成分はSiO2で、その中で発がん性があると指摘されている結晶性シリカのクリストバライト等については検出限界以下の濃度であり、人体への影響は少ない(表2)。

成果の活用面・留意点

  • 本装置は、張込量20石の循環式穀物乾燥機1台分の熱源に利用することができる。
  • 熱交換器が不要であり、籾殻燃焼装置を小型化することが可能となる。
  • 穀物乾燥機へ熱風を送る際は、乾燥機側の風量とバランスを制御する必要がある。
  • 炉体から放出される放射熱の割合が大きいため、この放射熱の熱風への変換効率を上げる手段を検討する必要がある。

具体的データ

図1~2,表1~2

その他

  • 中課題名:環境負荷の低減及び農業生産資材の効率利用に資する農業機械の開発及び評価試験の高度化
  • 中課題整理番号:600b0
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:2011~2014年度
  • 研究担当者:日髙靖之、野田崇啓、野口良造(筑波大学)、窪田祐二(筑波大学)、藤原逸平(金子農機)
  • 発表論文等:
    1)日髙ら「バイオマス燃焼による清浄熱・熱風発生装置」特願2011-230224(2011年10月20日)
    2) Kubota Y. et al.(2015)日本エネルギー学会誌, 94(1), 137-142.
法人番号 7050005005207