EF1αプロモーターの利用によるキク形質転換体での遺伝子発現

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要約

タバコから単離したエロンゲーションファクター1α遺伝子のプロモーターが、キク形質転換体において導入遺伝子を安定的に発現させる。

  • キーワード:キク、形質転換、プロモーター、外来遺伝子発現
  • 担当:花き研・生理遺伝部・育種工学研究室
  • 連絡先:電話029-838-6813、電子メールryu@affrc.go.jp
  • 区分:花き
  • 分類:科学・普及

背景・ねらい

キクでは、植物の外来遺伝子発現に最もよく用いられているカリフラワーモザイクウイルス由来の35Sプロモーターが働きにくいことが知られている。そこで、植物由来のプロモーターを利用することでキク形質転換体において導入遺伝子を安定的に発現させる。

成果の内容・特徴

  • タバコから単離したエロンゲーションファクター1α遺伝子のプロモーター(EF1αプロモーター)とGUS遺伝子を連結したキメラ遺伝子をキクに導入した。形質転換体に占めるGUS活性を有する個体(EF1αプロモーターが働いている個体)の割合は、ほとんどのキク系統において35Sプロモーターを用いた場合よりも高い(表1)。
  • 幼植物の時期に高いGUS活性を示した個体は再分化から20か月経過した時点においてもGUS遺伝子の不活化は起こらず、引き続き葉及び花弁において高い活性を示す(表2、図1)。
  • 以上の結果より、EF1αプロモーターはキク形質転換体において、外来遺伝子を安定して発現させることが明らかである。

成果の活用面・留意点

  • タバコEF1αプロモーターは、キクにおける外来遺伝子発現用プロモーターとして利用できる。

具体的データ

表1 キクにおけるタバコ・EF1αプロモーターの有用性

 

表2 EF1 α/GUS を導入したキク形質転換体の葉と花弁における遺伝子発現の安定性

 

図1 葉と花弁におけるGUS 遺伝子の発現

その他

  • 研究課題名:アグロバクテリウム法によるキクの形質転換系の開発
  • 予算区分:組換え植物
  • 研究期間:2000~2002年度
  • 研究担当者:間竜太郎、柴田道夫、大宮あけみ、岸本早苗、吉田和哉(奈良先端大)、長屋進吾(奈良先端大)
  • 発表論文等:間ら「キクにおける外来DNAの発現のためのEF1α遺伝子のプロモーターの利用」
                      特許出願番号2002-228576