カランコエにおける葉片からの再分化による染色体倍加

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要約

カランコエにおいて、葉片から植物体を再分化させることにより効率良く(約80%)染色体倍加を生じさせることが可能である。

  • キーワード:カランコエ、染色体倍加、再分化、組織培養、フローサイトメーター
  • 担当:花き研・生理遺伝部・育種工学研究室
  • 連絡先:電話029-838-6813、電子メールryu@affrc.go.jp
  • 区分:花き
  • 分類:科学・参考

背景・ねらい

花きにおいて倍数性育種は重要な育種手法の一つであり、倍数性を適度に高めることで花の観賞性が高まる場合がある。染色体倍加には通常コルヒチン等の薬剤処理が用いられるが、組織培養により得られた再分化個体における染色体倍加も様々な植物種で報告されている。そこで、カランコエにおける倍数性育種のための染色体倍加が、葉片からの再分化により生じるかどうか検討する。

成果の内容・特徴

  • カランコエ‘テトラバルカン’(4倍体)の葉片をベンジルアデニン0.5mg/l、インドール酢酸2.0mg/lを添加したMS基本培地で培養し、116個体の再分化植物を得た。フローサイトメーターを用いて倍数性を調査した結果、4倍体24個体(20.7%)、8倍体87個体(75.0%)、12倍体1個体(0.9%)そして16倍体4個体(3.4%)である(図1)。
  • 4倍体と8倍体は野生型同様の生育を示すが、12倍体と16倍体は生育が悪く、草丈・葉の大きさとも両者の間に著しい差が認められる(図2)。
  • 本結果より、カランコエにおいて、葉切片から再分化する過程で高頻度に染色体倍加が生じることが明らかである。

成果の活用面・留意点

  • カランコエの染色体倍加に利用できる。
  • 本結果は、品種‘テトラバルカン’を用いて得た結果である。他の品種における効果については未確認である。

具体的データ

図1 フローサイトメーターによる分析結果

 

図2 倍数性の違いによる生育の差

その他

  • 研究課題名:花きの形質転換系の開発
  • 予算区分:総合研究[地域実用化]
  • 研究期間:2000~2002年度
  • 研究担当者:間竜太郎、柴田道夫
  • 発表論文等:Aida and Shibata (2002) Plant Biotechnology 19:329-334.