低日照地域における二酸化炭素施用によるトルコギキョウの品質向上効果

要約

トルコギキョウの低日照地域における冬季出荷作型において、高昼温管理と組み合わせて、日中の光の強い時間帯に二酸化炭素施用を行うことにより開花が促進され切り花品質の向上が可能となる。

  • キーワード:トルコギキョウ、二酸化炭素施用、切り花品質、冬季出荷
  • 担当:日本型施設園芸・花き効率生産
  • 代表連絡先:電話 029-838-6801
  • 研究所名:花き研究所・花き研究領域
  • 分類:普及成果情報

背景・ねらい

トルコギキョウ冬季出荷作型は花芽発達時期が最も日照条件の悪い時期に重なるため、特に低日照地域では出荷が困難な作型である。二酸化炭素施用は多くの作物で光合成を促進することから、トルコギキョウ冬季栽培においても効果があることが期待されているが実証はされていない。高昼温管理と組み合わせて、日中の光の強い時間帯に二酸化炭素施用を行うことにより、低日照地域において、品質および収益性が向上するか明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 低日照地域でのトルコギキョウ冬季出荷作型において、二酸化炭素施用を行う。天窓換気温度設定30°Cとし、午前8時~午後1時を二酸化炭素施用時間帯とする。天窓開閉と二酸化炭素施用装置を連動させ、天窓閉鎖時に1,000ppmで施用を行い、開放時には施用を停止する。施用時間帯は暖房20°C設定で日中加温を行う。
  • 1月出荷と3月出荷作型において、白八重品種「ボレロホワイト」の二酸化炭素施用区と対照区(無施用)の生育を比較すると、二酸化炭素施用によって草丈、地上部新鮮重、開花数と総花蕾数の増加が認められる(表1、図1)。
  • 3月出荷作型において、白八重品種「ボヤージュホワイト」の平均出荷日は、対照区の4月3日に対して二酸化炭素施用区では3月27日と1週間程度早く、開花の促進が認められる。
  • 3月出荷作型において「ボヤージュホワイト」の出荷規格を調査したところ、対照区では分枝数3、開花輪数3、蕾数1以上の3F秀品率が0%であったのに対し、二酸化炭素施用区では31%となる(表2)。二酸化炭素施用によって品質が向上し、上位等級品の割合が増加する(表2)。
  • 10aあたりの収益性について3月出荷作型「ボヤージュホワイト」を例に試算すると、二酸化炭素施用によって所得が約2割増加する(表3)。

普及のための参考情報

  • 普及対象:トルコギキョウ生産者
  • 普及予定地域・普及予定面積:1月日照時間100時間程度の九州北部地域他、約3,300a
  • その他:本技術はトルコギキョウ低コスト冬季計画生産の考え方と基本マニュアルによる栽培技術を併用した結果である。施用開始は側窓を閉鎖する時期以降とする。低日照地域では、二酸化炭素施用終了後に天窓の手動換気を行うなどして湿度を下げ、温室内の湿度環境が過湿とならないよう留意する。

具体的データ

図1,表1~3

その他

  • 中課題名:生育開花機構の解明によるキク等の主要花きの効率的計画生産技術の開発
  • 中課題整理番号:141e0
  • 予算区分:交付金、実用技術
  • 研究期間:2010~2013年度
  • 研究担当者:牛尾亜由子、福田直子、原坦利(福岡県花卉農協)
  • 発表論文等:Ushio A. et al. (2014) J. Japan. Soc. Hort. Sci. 83: 59-63